2007年メッセージと活動

岩手シーティング研修会2007パート4

<2007年11月23日>
岩手県にシーティングを普及するために、いわてリハビリテーションセンターの協力を得て開催している研修会の第四回として今年最後の研修会をいわてリハビリテーションセンターで開催しました。今回も第二回・第三回と同様に実践形式の研修会として、特にリハセンターのPT,OTの方々の研修を中心に行いました。外部からもリハビリ・介護関係者の聴講がありました。
今回も最初にシーティングの講義を1時間ほど行った後、脊髄損傷等の患者さん3名にシーティングを体験していただき、シーティングの評価と処方について聴講者の方々にお見せしました。今回は患者さんを緊張させないこととプライバシーを考慮して、別室でシーティングを行い、その模様をビデオでスクリーンに映して別室の聴講者に見ていただき、各症例の後に質問を受け付けました。昼食を挟んで、脳血管障害等の患者さん3名に午前中と同様にシーティングを体験していただき、聴講者にスクリーンで見せて質疑応答をしました。
今回の研修会では最後に「ハンズオン」と呼ばれるシーティングを提供する側と提供される側になって交互に体験する時間を設けてリハセンターのPT,OTの方達に体験していただきました。グループごとに褥瘡予防クッション、バックサポート、ポジショニング・ベルトの順で実際に使用して体験していただき、シーティング機器を使用する患者さんの気持ちや感覚を体験していただきました。体験することで理解できることはとても多いので今回もハンズオンはとても好評でした。
セミナー後の感想には、「実践を通した勉強会が参考になった。「座位時間を延ばすためにシーティングを応用したい。」「利用者のためにシーティングを取り入れたいと考えていたのでシーティング機器を体験できてよかった。」「短時間でシーティングされる様子を見て驚いた。」「来年は他のスタッフも参加させたい。」などの声が多く寄せられて嬉しかったです。
今年、岩手ではリハセンターでの研修会も含めて5回のシーティング研修会を開催しました。岩手県にシーティングが普及していく手応えを感じていますが、来年はさらに普及活動を進めていく予定です。

 

岩手県庁ユニバーサルデザイン講演会2007

<2007年11月22日>
岩手県からユニバーサルデザインの講演依頼をいただき、ユニバーサルデザインの街づくりに関する講演会を岩手県庁で開催しました。今回の講演では「本当に必要とされるユニバーサルデザインとは」と題してこれまでのユニバーサルデザインの講演で話してきた内容をさらに拡げてお話ししました。
日本の街づくりは、障害者のためにバリアフリーを除去するバリアフリーから全ての人に優しいユニバーサルデザインの街づくりへと変わってきています。しかし本来なら基本にあるべきバリアフリーが適切に行われず、車いすで使用できなくても大多数の人が使えるからと、そりような施設や建物を「ユニバーサルデザイン」と呼んでいることをはじめとした、ユニバーサルデザインの問題点について話しました。  聴講してくださった県庁の職員の方達からは、「今までにない切り口の講演だった」、「このような問題について初めて聞いた」といったような感想をいただきました。日本各地で行われているいい加減なユニバーサルデザインに歯止めをかけたい私にとってはとても嬉しい反応でした。理解者の増えた岩手県で「本当に使えるユニバーサルデザイン」の推進のためにこれからもお手伝いしていきたいと考えています。

 

2007年ユニバーサル技能五輪国際大会

<2007年11月14-18日(技能五輪は21日まで)>
2004年に準備委員会の委員をしてから、組織委員会のアビリンピック技術委員会と広報委員会、そしてユニバーサル監修プロデューサーとして3年以上も関わってきたユニバーサル技能五輪国際大会が遂に開会。静岡市のグランシップで開会式が行われました。会場に近づくと外国の選手団の姿も目に付き、国際大会の雰囲気が感じられ、グランシップの建物に掲げられたユニバーサル技能五輪世界大会の文字を見ると、遂にこの日が来た!という気持ちで胸がいっぱいになりました。会場の大ホールに入ると私の席は最前列の真ん中。組織委員会の理事では唯一の車いすと言うこともあったのでしょうが、特等席で開会式を見ることができました。
ユニバーサル技能五輪国際大会は、史上初めて健常者の職業技能を競う技能五輪と障害者の職業技能を競うアビリンピックの世界大会を同時開催するという大会。技能五輪国際大会には46ヵ国から812名、国際アビリンピックには23ヵ国から360名の選手が参加しました。
やはり史上初となる合同開会式が満員の大ホールで午後4時ちょうどにスタートしました。2007技能五輪国際大会旗を先頭に選手団が次々と入場してきます。国旗の小旗を持りながら舞台左手のスロープから上がって、舞台上で手を振ったり、様々なパフォーマンスをして、右手のスロープを降りていきます。ユニフォームにもパフォーマンスにもお国柄が現れていました。民族衣装からビシッと決めたスーツまで様々です。気になったのは国技能五輪の選手だけの選手団。米国をはじめ障害者の統合が進んでいる国が参加していないことは今後の課題になるでしょう。判定にビリンピックだけ参加の国もありました。
入場行進の最後は主催国の日本。何度も見てきたパラリンピックの選手とは違いますが、仕事がテーマのユニバーサル技能五輪世界大会、卓越した職業技能を持つ選手達は、ユニフォームのスーツも似合って、かっこよかっです。アビリンピックの選手には知り合いの顔を見つけて喜びました。満22歳以下の技能五輪の選手達はステージでパフォーマンスも披露。屈託のない笑顔の若者なのに、高い職業技能を持っていることを誇らしく思いました。
すべての選手団の入場行進が終わり、開会宣言、会長の挨拶、選手宣誓そして大会名誉総裁の皇太子殿下からのお言葉をいただきました。最後に厚生労働副大臣の挨拶の後、石川静岡県知事から静岡県への歓迎の挨拶をいただいて開会式は終了しました。引き続き、アトラクションとして日本の伝統楽器によるライブがあり、会場を移して選手交流会が行われました。選手達は翌日から技能五輪国際大会は沼津市で、国際アビリンピックは静岡市で競技に入りました。

 

岩手シーティング研修会2007パート3

<2007年10月18日>
岩手県にシーティングを普及するために、いわてリハビリテーションセンターの協力を得て開催している研修会の第三回を岩手県沿岸部の大船渡にある大船渡福祉の里センターで開催しました。7月25日の盛岡、9月26日の藤沢に続く研修会の第三弾です。今回はできるだけ長く研修会の時間を取るために、私は盛岡からではなく、北上に新幹線で入り、バスに乗り換えて会場に移動しました。今回も前回と同様、実践形式の研修会です。講義を1時間半ほど行った後、昼食を挟んで実際に患者さんに体験者になっていただいてシーティングの評価と処方について参加者の方々にお見せしました。
前回の研修会でのモニターはすべて高齢者でしたが、この福祉の里センターには障害児の施設や養護学校もあることから、高齢者だけでなく脳外傷や脳性麻痺など、異なった障害の方4名がモニターになってくださいました。残念なことに当日になって81歳の脊髄損傷の女性が体調を崩して参加できなくなったので、21歳と30歳の脳性麻痺の女性と24歳の頭部外傷後遺症の男性にシーティングを定見していただきました。
最初の脳性麻痺の女性は自操できるレベルの障害でしたが、車いすの操作時に緊張や不随意運動が出てしまうとのこと。骨盤の保持を骨盤ベルトで行って姿勢を改善しました。二人目の脳性麻痺の女性はとても強い緊張が常時あって、不随意運動の問題もありました。緊張の強い時は進展傾向で体は右に倒れ、緊張が抜けている時は身体が前に倒れていました。まずマットテーブルで評価をしようとしましたが、緊張が強くて身体がエビ反りになってしまい、両側から支えても座ることができませんでした。何とか身体のサイズを計って車いすを設定して乗っていただくと、骨盤ベルトをしたとたんに緊張が緩和され、会場からどよめきが上がりました。シーティングで緊張がコントロールできる事を示すとても良いデモンストレーションになったと思います。(写真右)
最後の体験者は24歳の脳外傷による四肢麻痺の男性。問題は背部の筋緊張と転倒・転落の心配。車いすで快適に過ごす時間を増やしてベッドでの時間を減らしたいということでした。車いすを設定して乗っていただくと、最初は少し緊張されていましたが、身体の緊張が緩和されて良い姿勢で座っていただくことができました。(写真左)
実際にシーティングの評価と処方を見ていただいた後、参加者の方々から質問を受けてお答えしました。「あんなに強い緊張が緩和されたのを見て驚いた」「こんなに変わるとは思っていなかった」「ぜひ自分の職場でも導入して提供したい」など、とても肯定的な感想が寄せられて嬉しかったです。次回は11月末にいわてリハビリテーションセンターで今年の締めくくりの研修会を今回と同様の実践セミナーとして開催します。

 

国際福祉機器展・HCR2007

<2007年10月3~5日>
今年もHCRが東京ビッグサイトで開催されました。今年も海外の取引先とのジョイントですが、今年はアメリカのMedTrade、ドイツのRehaという世界三大福祉機器展がすべて同じ週に開催されるという異常事態が発生し、日本に来られない海外企業も弊社の取引先だけでなくてもたくさんいました。今年も昨年好評だった他社のブースから独立したアイランド型のブースにしました。今年の目玉は、10年ぶりにサンライズ・メディカルから発売された新型のバックサポート「J3バック」です。このJ3バックを中心のディスプレイにして、多くの方が体験できる形にしました。褥瘡予防クッションのJ2やスタンディング車いすなどもすべて体験できるようにし、シーティングの体験もとても好評でした。
私は今年もセミナーの講師を務めました。初日は「車椅子で床ずれを治す 予防と再発防止のためのシーティング」と題して車椅子による褥瘡予防と再発防止について、2日目はスタンディングのセミナーは海外から来日したPTに任せましたが、最終日には「障害児の変形防止のためのシーティングと題して障害児の二次障害防止のためのシーティングについてお話ししました。どちらのセミナーにも多くの方たちに集まっていただきましたが、やはり日本は高齢化社会。初日の大きな会場で行った褥瘡予防のセミナーは立ち見のスペースもなくなるほどの超満員になり、とても嬉しかったです。会場に入れずにお帰りになった方のため今後も同様のテーマのセミナーを開催していく予定です。シーティングの普及活動をはじめてから今年で14年。これからも更なる普及と車椅子を使用される方の問題解決のために尽力していきます。
何しろ話し続けたという印象の3日間でした。終了後には本当に声がかれてしまいました。今年も「体験できる」アクセスのブースには多くの方たちが集まり、実際に体験されて製品のよさを実感していただきました。休む暇もないほどの大盛況ぶりに大感激の3日間。ブースにおいでいただいたみなさん、本当にありがとうございました。

 

静岡ユニバーサルデザイン講演会2007

<2007年10月26日>
静岡を代表するホテルのひとつであるホテルセンチュリー静岡から依頼をいただき、ユニバーサルデザインに関する講演会を開催しました。2007年ユニバーサル技能五輪国際大会の開催まで1ヶ月。ホテルセンチュリーを含め静岡市周辺のホテルは国際アビリンピックに参加する国々からの参加者の対応の準備に追われています。ホテルセンチュリーにも オーストリアをはじめとする数カ国の選手と役員の宿泊が予定されています。今回の講演ではユニバーサルデザインの考え方と、障害を持った国内外からの宿泊客に対しての接客についてお話ししました。
講演はホテルの依頼により、スタッフの勤務時間に合わせて午前と午後に一回ずつ行いました。私の講演の基本的な内容は同じでしたが、午前中の講演の参加者には厨房の料理スタッフが多く、午後の講演にはフロントロビーのスタッフが多かったので、実例などについては考慮してお話ししました。みなさんとても熱心に聴いてくださって嬉しかったです。
私は大会のユニバーサル監修プロデューサーとして多くのホテルにアドバイスを提供しました。ホテルセンチュリーにもバリアフリー化/UD化のアドバイスを提供していましたが、今回の講演と講演の間に、改修の終わった部分を見せていただきました。さらに大会に向けて改修を行う各階のトイレについては、施工業者も呼んで直接アドバイスを提供しました。
今回ホテルのスタッフとお話ししていても大会が目前に迫っているのが実感できました。ユニバーサル監修プロデューサーとしては、まだまだやり足りない部分はたくさんありましたが、ホテルの宿泊については100人以上の車いすの選手が宿泊できるホテル客室を確保できました。これがフィニィシュではなく静岡のユニバーサルデザインのスタートとしてこれからもお手伝いしていきたいと考えています。

 

岩手シーティング研修会2007パート2

<2007年9月26日>
岩手県にシーティングを普及するために、いわてリハビリテーションセンターの協力を得て開催している研修会の第二回を、岩手県南部の東磐井郡藤沢町にある老健ふじさわで開催しました。7月25日に盛岡で開催した第一回研修会で開催希望地を募集したところ、真っ先に手を上げてくださったのが老健ふじさわでした。今回は復習のために講義を1時間ほど行った後は、すべて実践形式。実際の患者さんに体験者になっていただいてシーティングの評価と処方をお見せしました。
モニターになっていただいたのは老健に入所している患者さん5人。ひとりずつ現在使用している車椅子で登場していただき、座位の評価と改善を行って参加者の方々にお見せしました。
老健ふじさわでは一般的な老人保健施設と比べて、それぞれの高齢者の方のニーズに合わせて車椅子に工夫して提供していましたが、シーティングの技術はまだ活用していなかったので、シーティング用のクッションを使ってずり落ちを防止し、片側への傾きを改善、本人に合わせた背面角度を設定して安定性を提供し、調整式のアームレストで上肢を保持するなどして姿勢を改善。足で車椅子を操作している人には適切なシートの高さを提供してこぎやすくしました。これらのシーティングの設定について、そ方法と手順をお見せしました。
参加者の方々からは「シーティングを提供しているところを初めて見た」「こんなに変化があるとは驚いた」「ぜひ自分の勤めている施設にも導入したい」など、とても肯定的な感想が寄せられて嬉しかったです。次回は10月に岩手県の大船渡で今回と同様の実践セミナーを開催します。

 

第9回日本褥瘡学会学術集会

<2007年9月7~8日>
群馬県前橋市で開催された、第9回日本褥瘡学会学術集会では、企業展示の面から参加することになってましたが、私が東京大学医学部付属病院でお手伝いした症例に関して、東大病院の褥瘡対策チームの宇野光子さん(WOCナース)が一般口演で発表することになり、共同発表者としてプレゼンテーションの作成をお手伝いしました。宇野さんが同じく共同発表者の東大病院の医師の先生方と手術や治療の面についてまとめ、私はシーティングの面からどのように再発防止を行ったかをまとめました。褥瘡学会の「顔」でもある真田弘美先が共同発表者に名を連ねていただいたのがとても光栄でした。元々は真田先生からのシーティング依頼から始まった症例です。
一般口演はとても時間が短いので、プレゼンテーションをまとめるのが大変でした。症例は、ひとりが仙骨に褥瘡のある高齢の男性。もうひとりが片側の坐骨に褥瘡が繰り返し発生していた若い脊損の女性で、今回手術後にシーティングを提供した方でした。発表当日は、発表後にシーティングに関する質問があったら私が答えることになり、舞台の脇で待機しながら発表を聴きました。発表はとてもうまくいき、宇野さんと私で1名ずつの質問に答えました。
発表が終わると展示会場のあるグリーンドーム前橋に移動して展示を手伝いました。我々の展示していた褥瘡予防クッションのJ2クッションや圧測定器のXセンサー、そしてシーティングの搭載された車いすには多くの方たちが興味を示してくださいました。しかし褥瘡学会に参加している看護師さんや医師の先生方は日本では褥瘡治療のプロフェッショナルなのに、まだシーティングの効果についてご存じない方がたくさんいらっしゃるのが分かりました。単に褥瘡予防クッションを使うよりも、シーティングと組み合わせることで、どれだけ高い褥瘡予防・再発防止効果が得られるかを2日間に渡って説明し続けました。その合間にいくつかの講義にも参加することができ、とても有意義な大会でしたが、まだまだやらねばならないことがたくさんあるのを実感しました。

 

2007中・上級者向けシーティングセミナー

<2007年8月25~26日>
シーティングの中でも難しいと考えられている脳性麻痺を中心とした重度な変形、拘縮、そして強い筋緊張のある方のシーティングには、一般的なシートとバックによるシーティングだけでは充分ではなく、二次サポートと呼ばれるポジショニング・ベルトや頭部サポートの使用が必要となります。日本ではこれらの二次サポートの効果的な活用があまり行われていないので、外国からシーティング・スペシャリストの先生を呼んでセミナーを開催しました。今回招いたのはカナダでプライベートOTとして開業していて、カナディアン・シーティング&モビリティ・カンファレンス等の理事を務め、多くのシーティング関連企業のアドバイザー、そして教育担当者として活躍されているブレンリー・モーグル-ロトマンさんです。私自身カナダやアメリカでの多くのセミナーや研修会で何度も彼女のセミナーに参加しており、いつかは日本に招きたいと考えていました。
今回は大阪と東京で一日がかりのセミナーを開催しました。ブレンリーさんの意向で講義の後に「ハンズ・オン」と呼ばれる、実際に自分の手を使って評価や処方をしたり、体験したりする時間を設けました。
セミナーには多くのPT、OT、医療・リハビリ関係者の方々、そして弊社代理店のシーティング担当者に参加していただきました。朝9:30から午後4:30という長丁場でしたが、参加者の皆さんにはとても熱心に聴講していただきました。特にハンズ・オンは大好評でした。PT・OTを中心とした参加者の皆さんはベルトやヘッドレストなどを患者さんに提供していますが、実際に自分自身にベルトやヘッドレストを装着した経験のある方はほとんどいませんでした。今回は5人ほどのグループに分かれて交互に提供する側とされる側になって、骨盤ベルト、ハーネスベルト、ヘッドレスト、ヘッドサポートなどの機器を体験していただきました。骨盤ベルトに関しては骨盤の傾きによって締め方が異なることも体験していただきました。
セミナー後に多くの感想をいただきましたが、どれも肯定的で好意的なものばかりで嬉しかったです。特にハンズ・オンはとても好評でした。「筋緊張をコントロールするための骨盤ベルトを強く締めても、位置が適切ならば痛くないばかりか上体が動かしやすいことが確認できた」「骨盤ベルトの締め方で様々な効果が提供できることが分かった」「アラインメントやバランスの提供には個人に合わせた細かい調整が必要なことが分かった」そして一番嬉しかった感想は「しかし何と言っても骨盤の保持が最も大切なことが実体験とともに理解できた」でした。私がこのセミナーを通じて提供したかったことが通じてとても嬉しかったです。このセミナーで体験したことが参加した皆さんの日常の仕事の中で役立って、ひとりでも多くの障害児(者)に適切な姿勢が提供されていくことを願っています。

 

ロッククライミングとマーク・ウェルマン

<2007年8月19日>
今年の24時間テレビでは、昨年までのトライアスロンに替えて脊髄損傷者のロッククライミングが行われました。実は私と24時間テレビの繋がりは長く、私がアクティブジャパンの編集長をしていた十年前に友人の頚髄損傷の女性の遠泳チャレンジをお手伝いしたのをきっかけに、その後のチャレンジャーの人選に協力。トライアスロンへの挑戦を提案して、ハンドサイクルやレーサーを提供したり、人選のお手伝いをしたり、メカニックを派遣したりしました。今年の五月に、何年か続いたトライアスロンのチャレンジに替えて何か新しいチャレンジはないかという話をいただき、脊髄損傷者でロッククライミングのエクスパートである友人を紹介したのも私でした。
その友人であるマーク・ウェルマンは、ものすごい人で、ロッククライミングのエクスパートであるだけでなく、パラリンピックのダウンヒルのスキーヤーであり、クロスカントリースキーのエクスパートであり、様々なスポーツをこなす超A級のスポーツマンなのです。現在は自分の会社の社長と全米各地でチャリティ・イベントの開催などをしていますが、数年前までは国立公園のレンジャーをしていました。私は彼とアトランタ・パラリンピックで知り合い、その後クイッキーが彼をスポンサーしてイメージキャラクターにしたたことからアメリカの展示会などでよく会うようになりました。私が去年癌の手術をしたこともあって、しばらく会っていませんでしたが、彼の会社に連絡してコンタクトをとってもらい、今回の日本初のロッククライミング・チャレンジを応援してくれることになりました。
まず僕らは彼の会社から脊髄損傷者のための特殊なロッククライミング・ギアを購入しました。懸垂する要領で自分の体を持ち上げるメカニズムもマークが開発したものです。セットの中に私が日本で総代理店をしているいるジェイが開発したプロテクターというスリング付きの臀部保護用クッションが含まれていたのは嬉しかったです。その後テレビ制作のスタッフが彼から様々なアドバイスを受けて今回のチャレンジャーのトレーニングに役立てました。しかし日本にはロッククライマーのプロはたくさんいても脊髄損傷者を指導できる人がいなかったので、私はマークを日本に招くことを提案しました。当初は予算の関係で難しいと言われましたが、チャレンジ1ヵ月前の七月にマーク・ウェルマンを日本に招いて、長野で実際に指導してもらいアドバイスをもらうことができました。予算の関係でとんぼ返りのスケジュールの中、マークは東京で私と会う時間を作ってくれたので一緒に夕食を食べ、久しぶりにゆっくりと会話を楽しむことができました。写真はその時のものです。24時間テレビ当日はチャレンジが成功するよう祈る気持ちでテレビを見ていましたが、成功してよかったです。マークとの再会も叶ったので24時間テレビに感謝です。

 

広島で2回の障害児セミナー

<2007年8月3~4日>
五月に広島県で初の大型総合シーティングセミナーを開催しましたが、とても大きな反響をいただき、第二段として広島県立広島特別支援学校と廿日市の重度身体障害者団体TOMの会の依頼で、障害児向けのセミナー兼シーティング体験会を開催することになりました。各セミナーとも朝10時からお昼まで障害児の姿勢とシーティングのお話をして、午後からシーティング体験希望の方達に実際にシーティングを体験していただきました。
広島県立広島特別支援学校のセミナーは夏季研修会の一環として五日間のプログラムの最終日に開催していただきました。学校外からの参加者も含めてたくさんの方達に集まっていただき嬉しかったです。参加者の方々には、午前中にシーティングの講演を聞いていただいた後、午後の実践の部でシーティングによる姿勢の改善を実際に見ていただきました。体験を希望された数人の障害を持った生徒さんに対して、実際に姿勢の評価を行い、体に合わせてシーティング機器を設定して試していただきました。百聞は一見にしかずなので、このように実際に姿勢が改善されるところを見ていただくことで、姿勢の改善、そして二次障害の防止が不可能ではないことを理解していただけたと思います。各体験者の方に使える時間が30分ずつだったので、とても駆け足になりましたが、みなさんに喜んでいただけて嬉しかったです。
翌日は、廿日市に移動して重度身体障害者団体TOMの会が主催してくださった障害児向けのセミナーでお話しして、シーティング体験をしていただきました。前日の支援校でのセミナーに参加された方が再度参加してくださったり、前日のセミナーを聞いて急きょシーティング体験を希望された方もいたりして、皆さんの期待や熱意が伝わってきました。シーティング体験では前日同様、姿勢の評価から、シーティング機器を体に合わせて設定して試していただきました。希望の方全員に、私の帰京の飛行機の時間ぎりぎりまでシーティング体験を提供させていただきました。
シーティング体験に参加された障害児の家族の方々から「側彎はもう悪化を待つしかないと言われていた」とか「二次障害は防止できないと思っていた」とか「側彎が生じ始めたから車椅子に乗るなと言われた」などの声を聞きました。他の地域でも同様の話を聞くことはありましたが、今回は特にそのような声が多く聞かれました。しかしシーティング体験の後に「変形や二次障害をあきらめていたけれど希望が持てた」との声をいただいて、とても嬉しかったです。同時にこれからもシーティングの普及に励んで、ひとりでも多くの障害児(者)をお手伝いしたいという決意を新たにしました。
シーティング体験会やセミナーの開催依頼・参加希望はいつでも受け付けています。東京では無料のシーティング体験であるシーティング・クリニックも予約制で行っていますのでぜひ問い合わせていただき、今回の参加者の方達が体験したことをひとりでも多くの方が体験して、一日でも早く障害を持ったお子さんの二次障害の予防や悪化防止をはじめていただけたらと願っています。

 

長崎県パーキング・パーミット(身障者用駐車場利用証)制度スタート

<2007年8月1日>
パーキングパーミット制度が新たに長崎県でスタートしました。昨年2006年7月7日に私が企画提案した日本初のパーキングパーミット制度が佐賀県でスタートして約1年1ヵ月、山形県に続いて三県目です。佐賀県の隣の県である長崎県でスタートしたことで面としての広がりが出てきました。現在福岡県でも制度の導入を検討中とのことですが、福岡と北九州という二つの政令指定都市との調整にてこずっているようです。しかし福岡県で始まれば九州の北側が網羅されるので、パーミットの使用者の相互利用が現実的になります。さらに年内には熊本県でもパーキングパーミット制度がスタート予定です。一日でも早く残りの大分・宮崎・熊本でも制度をスタートさせて九州の身障者をはじめとする歩行に障害のあるドライバーが安心して移動して駐車できる環境を作りたいと願っています。大分・宮崎・熊本の各県の関係者の方々、ぜひよろしくお願いいたします。必要でしたらいつでもお手伝いする所存です。
九州以外でも7月にスタートした山形県に加え、福井県でもパーキングパーミット制度が年内にスタート予定です。佐賀県には他の県の自治体・県会議員そして障害者団体から問合せが多く届いており、パーキングパーミット制度が確実に広がっていくと予想されます。今後は相互利用できるような実施県での協定の作成も進めたいと考えています。

 

Do-Itプログラムで講演

<2007年7月28日>
7月25日~29日の5日間に東京駒場の東京大学・先端科学技術研究センターで開催された「DO-IT Japan障害のある高校生,高卒者のための大学体験プログラム(進学を成功させるために今君たちがすべきこと)」で講演をしました。このプログラムは米国のワシントン大学で開催されているDO-ITプロジェクトの日本版で、ワシントン大学との国際連携活動を進めながら開催されました。
参加者は、大学進学を目指し,将来社会での活躍を希望する障害のある高校生または高卒者。5日間の大学生活体験を通して、進学を成功させるカギとなる事柄を学ぶものです。プログラム定員は約10名ですが、最終日前日のレセプションには、DO-ITスカラー,DO-ITメンター,特別聴講生,ワシントン大学学生など多くの人達が参加して交流するので、その直前に行われた私の特別講義にもたくさんの障害を持った高校生とその家族が集まってくださいました。
障害を持つ若者への講演は久しぶりだったので、講義内容について試行錯誤しましたが、私の経験を踏まえた話というご依頼でしたので、「弱点を強さに変えて成功を目指す」と題して私自身の経験と活動についてお話ししました。
思い起こしてみると私の人生には、6歳のころの小児喘息、15歳の時の髄膜炎、19歳の時の脊髄損傷、その後に何度も悩まされて入退院を繰り返した褥瘡、そして昨年の膀胱癌による膀胱全摘とストマ形成と様々な病気や障害が起こりました。しかし小児喘息を水泳で克服して水泳の選手になったり、脊髄損傷になって車椅子の輸入会社を興したり、褥瘡の経験からシーティングを勉強して普及活動に努めるようになり、膀胱癌でストマ使用者になったことで内部障害者の気持ちもちょっとだけ分かるようになりました。簡単に言うと「転んでもただでは起きない」という人生。「弱点を強さに変えて成功を目指す」人生だったので、そんなお話をさせていただきました。
講演後には聴講してくれた多くの障害を持った高校生や家族とお話しすることができ、久しぶりに頑張っている若者達と交流することができて刺激をもらうとともに、楽しい時間を過ごすことができました。私の話が少しでも彼らの人生に役立ってくれれば嬉しいです。

 

岩手シーティング研修会2007

<2007年7月25日>
岩手県にシーティングを普及するために、岩手全域の病院・施設のセラピストを対象にシーティング研修会を行うこととなり、参加募集をかけたところ200席がすぐに満員になり、何人もお断りせざるを得なかったとのお知らせをいただき、嬉しさよりもお断りした方々にとても申し訳ない気持ちでした。会場となった岩手県国保会館の大会議室は消防法の制約もあって席数数以上の人数は会場に入れないそうです。今回のセミナーは五時間という長い総合セミナーだったので、実際立ち見は不可能だったでしょう。しかし今回のセミナーは岩手県全域の障害者や高齢者に関わる方たちにシーティングについて知っていただき、次の段階である各地のセミナーに繋げることが目的なので、今回参加できなかった方たちには、各地のセミナーに参加していただければ幸いです。
セミナーでは、重力の影響から、二次障害についてお話しし、車椅子設定とシーティングの基本についてお話しした後、骨盤の陥りやすい悪い傾きとその影響についてお話しし、その対応についてご説明しました。その後、褥瘡の予防と再発防止についてお話しました。クッションの選択方法、褥瘡にならない車椅子上での姿勢、圧分布測定器の活用などについて症例をまじえてお話しました。予定では障害児のためのシーティングについてもお話しすることになっていましたが、セミナーの最初に参加者が携わっている患者さんについてお聞きしたところ、成人障害者と高齢者だけで、珍しいことに障害児関係者が全く参加していなかったので、セミナーの内容を急遽変更して高齢者を中心に詳しくお話しました。  セミナー終了後には、既にセミナー開催を希望する施設が現れ、参加された皆さんのポジィティブな反応がとても嬉しかったです。次回のセミナーは、実際に車椅子を使われている方達に参加していただき、その場で姿勢と車椅子の評価を行い、シーティングの処方を行う実践的な研修会を予定しています。

キッズフェア2007でのセミナー

<2007年7月8日>
毎年参加している障害児とその家族のためのイベントと福祉機器展示会であるミプロ・キッズフェアから講演の依頼を受けて障害児向けのシーティングについてセミナーを開催しました。会社としては様々な年齢と障害の方に対応していますが、私自身は最近障害児に関する仕事が多く、このひと月だけでも養護学校と重度障害者通所施設からの依頼で障害児向けのセミナーを開催し、何人ものシーティング・クリニックの依頼をお受けして対応しました。ひとりでも多くの障害児の保護者や関係者に姿勢について理解していただき、一日でも早く障害児に適切なシーティングで姿勢保持を提供し、変形をはじめとする二次障害の発生を防止をしたい、というのが私の願いなので、このような機会が増えることは嬉しい限りです。今回のキッズフェアでのご依頼も喜んでお受けしました。
セミナー当日会場には、入りきれないほどの障害児の家族に集まっていただきました。大感謝です。講演時間が一時間半だったので、ダイジェスト版で障害児の姿勢とシーティングについてお話ししました。トピックは二次障害や重力の影響について、そしてその対応方法などです。参加者の大半を占めていた障害児の保護者の方達にはとても真剣に聴講していただき、講演終了後には「初めて何が必要か分かった」「不可能だと思っていた二次障害の防止に希望が持てた」などの感想をいただいて嬉しかったのですが、中には「私がしていて事は全て間違っていたことが分かった」というショッキングな感想もあり、私の仕事への使命感を改めて感じました。
講演終了後には、弊社のブースに聴講した方々が障害を持ったお子さんと共に集まっていただき、私とスタッフはできる限り多くの方々にシーティングを体験していただけるよう提供し、シーティングによる変化を体験していただました。皆さん良い変化が生まれましたが、左右にせわしなく動かし続けていた足の不随意運動がシーティングによってコントロールできたり、高い緊張で上に上がりっぱなしだった手がシーティングによって下に降りた時には「こんなことは初めてだ」と親御さんも興奮されて喜んでいました。さらに細かく丁寧なシーティング体験をご希望された方には、私がシーティング・クリニックで対応したり、社員がお宅や学校に伺って対応するお約束をしました。講演終了後からイベント終了までの時間は、多くの方のシーティング体験を提供して目まぐるしい忙しさでしたが、皆さんに喜んでいただいて充実感いっぱいの一日でした。

 

山形県身体障がい者等用駐車施設利用証制度スタート

<2007年6月15日>
昨年2006年7月7日に私が企画提案した日本初のパーキングパーミット制度が佐賀県でスタートして約1年、ついに二県目のパーキングパーミット制度が山形県でスタートしました。佐賀県で制度をスタートさせてから、ほとんどすべての県といくつかの政令指定都市から佐賀県に問い合わせがあり、その多くが佐賀県を訪問して視察し、制度の説明を受けたと聞いていました。その中でも最も早く対応していた山形県ですが、6月15日に新制度の運用を開始しました。とても嬉しいニュースで、これからも多くの県に広まることを願っています。
山形県の制度については、私はまったくお手伝いしていないのですが、パーミット(利用証)のデザインは佐賀県と同じ。グリーンの利用証が障害者・高齢者・難病者向けで、オレンジの利用証が怪我人や妊産婦等の一時的な歩行困難者向けの利用証であることも佐賀県と同じ。パーキングパーミットについて理解していただくために統一感があって良いと思いました。唯一残念なのは、佐賀県の利用証には「身障者用駐車場利用証」と書かれた下に英語で「Parking Permit」と記載されていますが、山形県の利用証には「身体障がい者等用駐車施設利用証」と記載されているだけで「Parking Permit」の記載はありません。さらに佐賀県の利用証の下部には「佐賀県」の下に「Saga Prefectural Government」と英文記載がありますが、山形県の利用証には「山形県」としか記載されていません。日本の利用証になんで英語が必要なのかと思われる方もいると思いますが、実はこの英文記載は海外旅行のためなのです。
北米をはじめ欧米諸国のほとんどの国には身体障害者用パーキングパーミット制度があります。特に北米は身障者用駐車スペースがどんな店や施設にもあるほど素晴らしく整備されています。さらに下肢障害者用のハンドコントロール(手動運転装置)付きのレンタカーも充実しています。だから車椅子の者にとっての旅行先として素晴らしい国なのです。ところが日本からの旅行者はパーキングパーミットを持っていないので、これらの身障者用駐車スペースを使用することができませんでした。パーミットが提示されていなければ違反車両と見なされ、違反車両には高額な罰金とレッカー移動が待っているのです。
そこで私が米国大使館に問い合わせたところ、米国の各州は海外のパーキングパーミットの使用も許可するとの回答がありました。しかし当時はパーキングパーミットが存在せず、唯一存在した「駐車違反除外指定車」の標章には漢字しか書かれておらず、海外ではパーミットとして見なされませんでした。そんな理由と欧米の身障者用駐車場を使用したいと言う日本の身障者の声から、私が佐賀県のパーキングパーミットのデザインを考えた際に理由を話して英文表記を記載してもらったのです。
山形県の方達はそこまで考えなかったのでしょう。これを受けて私は佐賀県のスタッフに相談。ある程度の数の県がパーキングパーミット制度を導入したら、日本身障者用パーキングパーミット連盟のような組織を作って「Japan Parking Permit(日本国身障者用駐車場利用許可証)」と書かれた公式シールを利用証に貼ることで海外での使用を可能にしようと話しました。この件についてはまだ正式ではありませんが、ぜひ実現させて、日本の障害を持つ方達の海外旅行を楽で楽しいものにできたらと考えています。
写真は山形県の利用証が入手できなかったため佐賀県の利用証と専用駐車スペース用標識です。山形県の関連ホームページはこちらから。

 

かげがえのない友人の死

<2007年5月18日・5月24日・6月12日>
突然の訃報が飛び込んできました。5月18日にツーリズムマーケティング研究所所長で「もっと優しい旅への勉強会」顧問であった草薙威一郎さんが逝去。12年前の1995交通ボランティア講座で出会い、1997に開催された日本経済新聞社の「バリアフリーシンポジウム」で一緒にパネリストを務め、親しくさせていただいていました。AMITA(アクセシブル盛岡in東京)には1999年から一緒に参加し、2002年に私が「もっと優しい旅への勉強会」で講演して親交が再開。私自身の海外旅行のアドバイスをもらったこともありました。去年と一昨年は(2005~2006)ユニバーサルデザイン・アドバイザリーコミッティのメンバーとして一緒に恵比寿の建物のUD化のコンサルティングをして、頻繁にお会いしていましたが、まさか二月末の会議でお会いしたのが最後となるとは思ってもみませんでした。
草薙さんの逝去から一週間も経たない5月24日に大親友の突然の死がありました。そして3人目は私を盛岡と岩手を大好きにさせてくれた久木田禎一さん。昨年お会いした時に、ほぼ同時期に癌の手術を受けたことを話し、完治した私に対して、まだ治療が必要と言っていた久木田さんでした。今年の夏の再会を約束していたのに、約束まであと一ヶ月半という時に食道癌のため亡くなってしまいました。昨年の夏、私のことを車で送ってくれたのが最後だなんて考えもしませんでした。都市計画の専門家で盛岡や岩手の街づくりや活性化に深く関わってきた久木田さんとは1997年に盛岡で開催されたシンポジウムの後の集まりで紹介され、意気投合して、盛岡市や水沢市のバリアフリー事業をお手伝いしたり、彼のNPOの理事を務めさせていただいたりしました。しかし久木田さんとの思い出は仕事以外にもたくさんあります。私が仕事で岩手に行く度に、盛岡、一関、水沢、遠野、安比などの様々な場所に私を案内、さらに音楽好きの久木田さんは私を盛岡の色々なライブハウスに連れて行ってくださいました。私が大好きなギタリストの三崎ともやすさんの「もんどりあん」、サックスの西部さんのすぺいん倶楽部、一関のベイシー等々、楽しい思い出と出会いは久木田さんのおかげでした。縁が合って盛岡や岩手をお手伝いする機会が増えていますが、その盛岡と岩手を大好きにさせてくれた張本人が久木田さんでした。
日本の障害者の旅行のための道を作った草薙さん、岩手と盛岡の変革の立役者であり、岩手を本当に愛して止まなかった久木田さん、そして私の大親友。こんなに素晴らしい人達、こんなに良い人達、私にとってかけがえのない人達が何でこんなに早く・・・と考えてしまいます。悔やんでも悔やみきれませんが、あとは彼らの意思を引き継いで私ががんばっていくしかないと感じました。(写真は久木田さんを偲ぶ会での三崎さんと西部さん)

 

 

広島初の大型セミナー

<2007年5月19日>
広島県で初の大型総合シーティングセミナーを開催しました。全国的に見るとなぜか中国地方からはシーティングの依頼が少なく、広島県では以前広島市の病院で一回講習会を開催しただけでした。今回広島地域の代理店が充実したことを受けて、広島初の大型総合セミナーの開催となりました。会場には障害児から高齢者まで様々なレベルの障害者と携わっているリハビリ、医療、介護、福祉関係者の皆様に多数集まっていただきました。
セミナーでは、シーティングの基礎についてお話しした後、骨盤の傾きによる様々な問題とその解決方法についてお話ししました。さらに高齢者や脊髄損傷者にとって切実な褥瘡の予防と再発防止のためのシーティングについてお話しし、脳性麻痺を中心に障害児にとって深刻な変形・緊張・拘縮・脱臼の予防や悪化防止についてもお話ししました。最後に二次サポートと呼ばれるポジショニングベルトとヘッドサポートの活用についてお話しして私の講演は終りました。その後に事例発表として広島でシーティング・システムを使ってとてもうまくいった障害児の症例を担当されたPTの方に発表していただきました。
セミナー修了後、多くの参加者の方達からシーティングセミナーとシーティング体験会の依頼を受けました。これを機会に広島県から中国地方ににもシーティングが普及し、ひとりでも多くの車椅子使用者が二次障害を予防して車椅子に快適に長時間乗れるようなって自立生活と社会参加が可能になる事をお手伝いできたらと願っています。

 

公開対談

<2007年4月21日>
「いきいき」という雑誌で以前車椅子について講演したことがありました。その時に知り合った臨床心理学博士の堀越先生が公開対談を行って、雑誌に記事として公開するということで第1回の対談相手に私を選んでいただき、公開対談を行いました。対談とタイトルは「喪失を考える」。考えてみると私は人生でいくつもの事故や病気に遭い、失ったものもたくさんありました。中学生の時に突然発症した髄膜炎では半年の入院して留年せざるを得ませんでした。その後の米国留学で1年半が経った順風満帆なときに起きた転落事故によっての脊髄損傷と下半身の麻痺。その後褥瘡に何度も悩まされ、7回の手術と延べ二年間の入院。さらに昨年は膀胱癌の発見と手術。ストマ使用者になりました。もしかしたら対談を企画された方は私が落ち込んだところからどう立ち直ったのかが聞きたかったのかもしれません。しかし思い出してみるとどの時も私は落ち込みませんでした。
さすがだったのは堀越先生。公開対談中に進路を変えて「なぜ私は落ち込まなかったのか」を臨床心理学の分野から分析してくださいました。その答えは、私は何かが自分の身に起こると、解らないことや疑問に関して情報を収集しまくる。そして自分の心配が溜まって落ち込む前に心配の種を取り除く答や選択肢を見つけてしまう、というものでした。確かにそうかもしれません。脊髄損傷の事故の時は病院のスタッフが情報を提供してくれたのがきっかけでしたが、自分ができる事に関して様々な情報を収集した思い出があります。膀胱癌が発見された時も、2つの病院に入院して検査し、他の二人の医師からセカンドオピニオンをもらい、納得して病院と手術を選択することができました。膀胱を全摘してストマになると言われた時も最初は意味が分からずショックでしたが、ストマとは何か?仕事をする上で問題が生じるのか、水泳やダイビングはできなくなるのかなど調べまくりました。(癌研有明病院のWOCナースの方々にはたいへんお世話になり多くの情報を提供していただきました。)だから安心して手術が受けられたのだと思います。実は膀胱癌の手術の時に右手の神経が圧迫されていて、手術後に右手の一部が麻痺してしまい、痺れと痛みで大変苦労しました。その時もペインクリニックやリハビリ病院を見つけて入院して様々な方法を試して痛みを除去し、機能を回復することができました。人生色々なことが起きるものです。しかし情報によって心配はなくすことができます。こんな私の体験も皆様の何かのお役に立てば幸いです。

 

シーティング・クリニック2007

<2007年3月9日>
当社の営業担当者は毎日のように施設や個人のお宅に伺ってシーティングのお手伝いをしていますが、東京本社では、予約制で無料のシーティング相談とシーティング体験ができるシーティング・クリニックを開催しています。来社される方には、シーティングを初めて体験する方とシーティングの調整のために来社される方がいます。
悪い姿勢をとっていると、体の変形をはじめとする二次障害が成長期に成長とともに急激に悪化します。私は特に3歳頃と9歳頃の成長期の前に正しいシーティングで姿勢を改善することを保護者の方々にお奨めしています。シーティングの提供後も、特に年齢が低い時期は成長や変化に合わせてシーティングを細かく調整することが大切です。
この日は低酸素性虚血性脳症の3~7歳のお子さんたちがシーティングの調整のために来社されました。ヘッドサポート(頭部保持)の微調整、バック(背面)サポートの調整、ベルトの調整、フットレスト(足台)の角度の調整などを行いました。今回来られた方達は定期的に来社していただいているので、問題がないように確認することができ、成長にぴったり合わせたシーティングが提供できるので安心です。シーティングの効果もあって、姿勢が悪くならずに成長されているのを確認できて嬉しかったです。姿勢がよくなっているお子さんもいらっしゃいました。このような形で継続してサポートして行ければ二次障害の防止ができます。是非もっと多くの方達にシーティングの効果を体験していただきたいと願っています。
シーティング・クリニックのお問い合わせは こちらから。

 

ものづくり立国シンポジウム2007

<2007年2月4日>
開催まで一年を切った2007年ユニバーサル技能五輪世界大会の周知活動のひとつとして全国を回っている「日本縦断!!『ものづくり立国』シンポジウム~技がひらく!ニッポンの未来」が大阪の松下IMPホールで開催されました。このシンポジウムでは、大会に関するパネル展示、前週に札幌で開催されたシンポジウムにおける技能実演の映像上映、今年の大会に向けて制作されたビデオ「めざせ!技の金メダル」の上映、技能者による実演、堀田力氏の基調講演、そして私が参加したパネルディスカッションが行われました。
実演を行ってくださったのは、国内大会で優勝してして国際大会の代表選手に選ばれたお二人。アビリンピック代表コンピュータプログラミング競技の富高孝一さん(脊髄損傷者)と技能五輪代表・機械組立て職種の谷口昌太郎さん(健常者)。2人のトップ技能者の巧みの技に来場者は驚き、感動していました。皆さん是非11月14日~21日の大会にご来場ください。感動すること間違いなしです。
パネルディスカッションは、基調講演をされたさわやか福祉財団理事長で弁護士の堀田力さん、洋菓子の世界大会で3度の優勝経験を持つカリスマ・パティシエ辻口博啓さん、障害者を中心に運営される企業を自ら提案して実現させたYKK六甲(株)代表取締役社長の江口敬一さん、そして私。 コーディネーターは、今年の大会の総合プロデューサーである残間里江子ざんで行われました。パネルディスカッションの最後に、一人でも多くの人にものづくりやその技能に興味を抱いていただくために、各パネリストがキーワードを書いて一言ずつ提言を行った。私が書いたのは「技で障害を消す」。それは、障害があっても究めた技術を持っていれば周囲がその人の障害を忘れてしまう、ということで、私の経験や知人で顔にあざのある方の実例と共にお話しさせていただきました。シンポジウム終了後に実演者の富高さんから私の言葉に賛同をいただいてとても嬉しかったです。

 

全国肢体不自由児養護学校PTA連合会講演

<2007年1月25日>
全国肢体不自由児養護学校PTA連合会から依頼をいただいて、東京で開催された中央研修会で講演しました。参加していただいたのは全国の肢体不自由児養護学校のPTA会長さんたちと校長先生。最近、養護学校で障害児のコミュニケーション機器を中心としたAT機器の活用が進められていることを踏まえて今回は「コミュニケーションを成功させるための姿勢保持」と題して障害児の残存機能を最大限に発揮するための車椅子上での姿勢についてお話ししました。障害児の二次障害の予防と重力と姿勢の関係についてお話しした後、様々な姿勢の傾向と問題点、そしてその対策について症例と共にお話ししました。障害児の姿勢の問題が車椅子シーティングによって改善可能なこと、姿勢の違いでコミュニケーションに大きな変化が生まれることを、まだご存じなかった方達にも知っていただくことができて嬉しかったです。

 

佐賀大学シーティングセミナー2007

<2007年1月13日>
佐賀県でシーティングの普及を進めていらっしゃる佐賀大学医学部・地域医療科学教育研究センター福祉健康科学部門の松尾清美先生のご依頼で、佐賀県では初めてのシーティングセミナーを開催させていただきました。今回のセミナーは佐賀大学で開催されたモビリティシンポジウムの一環で。午前中に私の車椅子シーティングセミナー、午後に交通バリアフリーに関するシンポジウムが開催されました。佐賀といえばいつもはユニバーサルデザインのために訪れますが今回はシーティングの方を担当しました。佐賀県では、張り調節の背布を使用したシーティングに関しては既に松尾先生が普及活動をされ、シーティングクリニックを開催して実践していらっしゃるので、今回の私のシーティングセミナーは「ソリッドバック、ソリッドシートを使用したシーティング」と題して北米を中心に世界的に使用されているソリッドバックとソリッドシートを使用したシーティングについて講義をさせていただきました。セミナーには車椅子使用者を含めた80名ほどの様々な職種の方達が佐賀県と長崎県を中心に集まってくださいました。まずはシーティングの基礎についてお話しした後、骨盤の傾きによる様々な問題とその解決方法についてお話ししました。今回は高齢者と介護関係者から成人障害者そして障害児に携わる方まで様々な方達が参加してくださったのでセミナーの最後の30分は褥瘡予防と再発防止、そして障害児と重度障害者のためのポジショニングベルトとヘットサポートのプレビューをして、詳しくはまた次回に行うことを約束してセミナーを終えました。
セミナー修了後、多くの車椅子使用者の方達からシーティングの依頼を受けましたが、今回はひとり骨形成不全の女性にシーティング体験をしていただきました。足の外転と体を回旋してかたむけて座る傾向のある方だったので座面の調整と背面に合わせたシーティングを行いました。シーティング後にはとても快適になり自分で車椅子が押せるようになったと言っていただき、その車椅子で午後の交通シンポジウムを聴講していただきました。これを機会に佐賀県や長崎県にもシーティングを普及し、ひとりでも多くの車椅子使用者の方達が快適に車椅子に長時間乗れるようなって自立生活と社会参加が可能になる事をお手伝いしたいです。