全国脊髄損傷者連合会50周年記念イベント・国際シンポジウムで司会
<2009年11月1日>
脊損連合会から依頼を受けて、全国脊髄損傷者連合会50周年記念イベントで開催された「脊損・国際シンポジウム・海外諸国の状況と活動報告」の司会・コーディネーターを務めさせていただきました。大阪府堺市にある国際障害者交流センター(ビッグアイ)で開催されたこのイベントでは、記念式典の後、妻屋理事長による脊髄損傷者のこれまでの活動についての講演と辻大阪脊損協会会長による講演がありました。昼食を挟んで国際シンポジウムが開催されました。
シンポジウムには、台湾脊髄損傷者協会理事、韓国脊髄障害者協会事務総長、フィリピン脊髄損傷者協会役員そしてニュージーランド脊髄損傷者協会(New Zealand Spinal Trust)から理事が参加。私の司会で進行し、まずは各国に於ける脊髄損傷者の状況や課題、得意分野、そして今後の方針などについて話していただきました。隣国でありながら知らなかった韓国の脊髄損傷者の状況を知ったり、とても羨ましくなるニュージーランド脊髄損傷者の暮らし(事故による中途障害には優遇)やまだ始まったばかりというようなフィリピンの状況、人工授精について詳しく話した台湾の話も印象的でした。その後ディスカッションをしたり、聴講者からの質問に答えていただいたりして、個人的にも有意義なシンポジウムでした。
その後の懇親会では日本の脊髄損傷者協会の方達と各国の代表達が食事をして語り合うとができましたが、英語の通訳が途中で退席したため、急遽私が通訳をすることになり、会場のあちこちから呼ばれて大忙しでした。しかしそのおかげで各国の代表者達と仲良くなることができ、みんなから「私の国に来る時にはぜひ声をかけて」と言っていただけて嬉しかったです。前日の茨城のワークフェア終了後に東京駅まで車を運転して移動し、新幹線と電車を乗り継いで駆けつけた甲斐かありました。
2009茨城アビリンピックで講演と展示
<2009年10月30,31日>
一昨年、ユニバーサル監修プロデューサーとして3年以上も関わってきたユニバーサル技能五輪国際大会が静岡県で開催されました。今年もその国内大会である第47回技能五輪全国大会と第31回全国障害者技能競技大会(アビリンピック)が茨城県で開催されました。アビリンピックと同時にひたちなか市総合運動公園総合体育館前特設会場では障害者ワークフェアが開催され、今年も就労支援機器の展示と講演を依頼していただきました。
障害者ワークフェアの開会式では出展者代表としてテープカットをする一人に選んでていただき、知事や理事長をはじめとした皆様とテープカットをさせていただきました。 展示では「適切なシーティングで一日中元気に働こう!」をテーマに、車いすで体に痛みを感じている方や一日中車いすで働くことが辛い方に、体に合わせた車いすシーティングによって、残存機能を最大限に発揮できるようになり、車いすで一日中快適に仕事をすることができること試していただきました。特設ステージで提供されたデモンストレーションでは「車いすを快適な場所に・一日中快適に活動するための方法」と題してシーティングの講演とデモンストレーションをさせていただきました。デモンストレーション講演は1日1回30分という短いものでしたが、講演後には多くの方がブースに相談や体験においでになりました。
車いす使用者で働いている方には、車いすで痛みを感じていたり一日中車いすで活動するのが辛いという方もいらっしゃいました。まだまだ車いすは移動の道具であって一日中快適に使用するのは無理だと考えている方が多いのを実感しました。私がお手伝いした多くの方達のように一日中車いすで快適に活動したり、仕事をしたりすることは可能だということを今回のデモンストレーション講演とブースでの展示、そして会場で多くの方にお伝えすることができました。実際にシーティングの依頼も多くいただいたので、シーティングを提供して元気に車いすで働く方を増やしていきたいです。
2009シーティングセミナー
<2009年10月24,25日>
昨年オーストラリアからボストン出身のシーティング・スペシャリストのPTであるエイミー・ビヨンソンさん招いて行った初心者・中級者向けシーティングセミナーがとても好評だったで、今年もエイミーさんに来日していただき、東京と名古屋でシーティングセミナーを開催しました。
今回はもう一度シーティングの基本を徹底的に勉強し直そうということで、世界中でシーティングに使用されているJ2クッションとJ2バックの活用(選択から調整まで)をテーマとしました。タイトルは「J2・J3クッション・バックを極める!~褥瘡予防と機能性向上に最適な姿勢のために~」。J2シリーズに加えて今年発売になったJ3クッションと最近発売になったJ3バックについても活用方法を詳しく説明しました。
セミナーは10月24日に東京で、25日に名古屋で開催しました。エイミーさんを講師に迎え、私が通訳を務め、午前9;30~午後4:30までというフルセミナーになりました。今回の参加者は過去に我々のシーティングセミナーに参加したことがあり、J2クッションやJ2バックなどを使用しているが、充分に活用できていない、またはさらなる活用方法を知りたいという方に限定した中・上級セミナーとなりました。
セミナーではまず最初にクッションの基本について話しました。最近欧米で考えられるようになったクッションを「固体」と「流動体」に分ける分類方法から、固体と流動体の特徴、そして褥瘡予防への応用について説明しました。次にシーティング時に考慮する形、大腿骨と骨盤の保持に適した形について説明。良い姿勢と褥瘡予防のためにどのような形状のクッションが必要かをお話ししました。
そしてここからは個別のクッションについて特徴と対象となる人、採寸方法、調整方法を詳しく説明しました。通常のセミナーでは個々の製品についてあまり話さないので今回は各クッションについて詳しく説明しました。J2クッションから始まり、J2ディープクッション、新製品のJ3クッション(標準とディープタイプ)さらには新製品で通気性を重視したジェイ・ライト・クッションについても説明しました。
午後にはバックサポートについてまず基本を説明してからJ2バック、J2ディープバック、そして新製品のJ3バックについて特徴と対象となる人、採寸方法、調整方法を詳しく説明しました。ケーススタディも何例かお見せしました。J3バックには様々なタイプがあり、背面の変形に合わせて対応するための様々なパーツが用意されているので、これらの選択方法や使用方法についても詳しく説明しました。
セミナーの最後の1時間は「ハンズオン」と呼ばれるグループに分かれてのワークショップを行いました。今回のハンズオン・セッションでは、参加者を数組のグループに分けて、グループごとにクッションの調整と褥瘡予防クッションの比較、J2バックとJ3バックの取り付け方法と調整、カスタム化などについて、シーティングを提供する側と体験する側を交互に行って試乗したり体験したりしていただきました。今回もこの体験セッションはとても大好評でした。講義の後に実際にシーティング機器を使って体験していただくことが理解していただくための一番の方法だと再確認しました。参加者の方達がこのセミナーで学んだことを、それぞれの仕事に役立てていただければ嬉しい限りです。
法政大学で特別講義を3回
<2009年10月15日、11月19日、12月4日>
10月から12月にかけて法政大学で3回も特別講義をさせていただきました。10月には法政大学国際遠隔講座「福祉工学」講義という形で九段校舎で講義。市ヶ谷と小金井のキャンパスにも中継されました。この講義は今年で7回目となる恒例の特別講義です。毎年呼んでくださる小林先生をはじめとする皆様に感謝です。当初はロボット技術の福祉利用を目指す学生たちへの講演でしたが、だんだん対象が拡がって、最近では技術系から社会福祉系まで様々な分野の学生たちに集まっていただいています。今年は「変えられる!障害者と高齢者の生活~自立支援のための道具の活用から街づくりまで~」題して障害者と高齢者に対する考え方を車いす、介護、自立支援、バリアフリー、ユニバーサルデザインなど様々な面から対応することで大きな変化が起こせることをお話ししました。聴講した学生たちに最後まで真剣に聴いてもせえてとても嬉しかったです。
二度目と三度目の講義は、法政大学の多摩キャンパスでスポーツに関わっている学生たちに向けて行いました。11月の講義はSSI スポーツイベント論の特別講義の依頼で、スポーツの選手として活躍している学生や将来スポーツ関係の仕事に就くことを目指している学生たちに、障害者や障害者スポーツのこと、そして超高齢社会に向けて不可欠なスポーツ施設のユニバーサルデザイン化について「車いす使用者の視線からスポーツ施設を考える~すべての人が使いやすい施設とは~」と題してお話ししました。これまでにあまり障害者のことは考えたことがなだろう元気なスポーツ関係の学生たちでしたが、講義が進むにつれてどんどん興味を持ってくれたのが嬉しかったです。
講義を依頼してくださった三ツ谷先生から担当している「スポーツとまちづくり」の講座の学生たちにも講義を聴かせたいと言っていただき12月に再度法政大学多摩キャンパスに伺い、今度はスポーツ健康学部棟で学生たちに講義をさせていただきました。今回の学生たちも将来スポーツ関係の仕事に就くことを目指しているので、スポーツ施設やスポーツイベントなどのユニバーサルデザイン化、お客さんとしての高齢者や障害者を考えるという話にはとても賛同してくれました。講義の後には三ツ谷先生と何人かの学生たちと食事をしながら話す機会もいただいて楽しかったです。
少子高齢社会が加速するこれからは、すべての分野でユニバーサルデザインの考え方が必要となります。今回の三つの講義を聴いてくれた学生たちが就く様々な仕事でユニバーサルデザインを実践して高齢者や障害者を中心にすべての人に優しい街や施設そしてサービスが提供されるようになることを願っています。
シーティング勉強会を4回シリーズで
<2009年10月9,20日,11月4,11日>
9月に大阪で開催された褥瘡学会でお会いした看護師さんから依頼を受けて東京の王子生協病院でシーティングの勉強会を開催することになりました。対象はリハビリのスタッフであるPT,OTの皆さんです。一度に長い時間をとったり、土日に開催することが難しいということでしたので、職員の方の仕事の終わる午後6時半から1時間半のセミナーを4回開催することになりました。
第1回目は「シーティングの基本」と題して重力と姿勢の関係から二次障害の予防、車いすの設定、シーティングの基本、骨盤保持(後傾や傾きの改善)についてお話ししました。第二回目は「シーティングによる褥瘡予防・再発防止」と題してシーティングによる褥瘡予防と再発防止、そしてクッションの選択方法、圧分布測定器の活用こについてお話ししました。この回にはセラピストに加えて看護師さんにも参加していただきました。病棟で患者さんと関わる看護師さんにも大切な考え方だからです。第3回目は「シーティングによる重度な障害への対応」と題して拘縮や関節可動域の制限、固定された変形など難しいケースへの対応についてお話ししました。二次サポートと呼ばれるポジショニング・ベルトや頭部サポートについてもお話ししました。そして最終回の第4回目にはこれまでの講習のまとめについてお話しした後、「シーティングの実践」と題して実際にクッションやバックサポートの設定や調整をしていただきました。
勉強会の最後に、実際の患者さんにシーティングを試してみたいということになり、入院中の高齢の男性に対して車椅子とシーティングを合わせました。車いすでの姿勢保持が難しいという方でしたが、崩れていた姿勢を改善し、安定性と快適性を提供することができました。
以前、2回に分けて講習会を提供したことはありましたが、今回のような4回シリーズでの提供は初めてでした。土日などに5~6時間という長時間をかけて徹底的にシーティングの勉強をすることも良いと思いますが、忙しいリハビリ・スタッフの皆さんに仕事の後に集まって勉強していただく今回のようなスタイルも良いと思いました。これからもシーティングの勉強を希望される方々のニーズやスケジュールに合わせて様々なタイプのセミナーや講習会をこ提供していきたいです。
国際福祉機器展HCR2009
<2009年9月29-10月1日>
今年は例年よりも遅い9月29~10月1日に東京有明のビックサイトで国際福祉機器展(HCR2009)が開催されました。今年のテーマは「あきらめていたことを可能に」。障害者や高齢者には情報がないことで様々なことを諦めてしまいます。「障害児の変形」「脊髄損傷者や高齢者の褥瘡」「快適な車いす」「重度障害者の電動車いす操作」等々。障害児・者や高齢者に生じる様々な二次障害は予防・防止できること。褥瘡の予防や再発は可能なこと。重度な寝たきりの障害者も車いすで快適に活動できること。そのようなことを車いすシーティングの使用前後の写真で紹介し、ブースで実際に車いすやシーティングを体験していただき、セミナーやワークショップでお話ししました。
今年の特色はブースに於ける1日4回のプレゼンテーションでした。テーマは様々で、新製品の褥瘡予防クッションであるJ3クッション、新開発の座圧分布測定器コンフォーマックス、新製品の電動ポジショニング書車いすパルス6、新製品のスタンディング電動車いすC3、ヤマハと共同開発したクイッキー用のJWX-1、さらには障害児の成長と共に拡張できる成長対応拡張型車いすのジッピーIRISやジッピーTS、厚生労働省に座位保持装置完成用部品として認可されているシーティング製品、そして最近とても好評なコロプラスト社製のインコンチネンス・ケア(集尿関連)製品についてもご紹介しました。各プレゼンテーションともとても好評でした。
そして今年もセミナーとワークショップを開催しました。初日29日には障害児向けの「障害児の変形防止のためのシーティング」、1日には高齢者向けに「車いすで床ずれを治す。予防、再発防止のためのシーティング」、30日には「立てない人を立ち上がらせるスタンディングの効用」についてお話ししました。シーティングについては私が講義を行い、スタンディングについてはスイスから来日したPTが担当しました。毎年多くの方に参加いただいて満員になっているセミナーなので、同様のテーマを最新の情報に更新した内容でお話ししました。高齢者向けのセミナーは今年も超満員。立ち見スペースもないほどになってしまいました。セミナールームに入れなかった皆様申し訳ありませんでした。来年はもっと大きな部屋でご提供できたらと願っています。
今年はプレゼンテーションとシーティング体験によってアクセスインターナショナルのブースは最も賑わっていたブースだったと言っても過言でないでしょう。日本中から来場していただいた皆様ありがとうございました。
シーティング・クリニック in 愛知
<2009年9月19日>
2ヶ月前に愛知県岡崎市の障害児のお母さんたちから依頼をいただいて障害児と家族のためのシーティングセミナーを開催しました。当日は筋ジストロフィーと脳性麻痺のお子さんと家族、そして学校の先生や病院・リハビリ関係者まで、岡崎市と名古屋市を中心に多くの方々が集まってくださいました。講義の後にモニターとして5人の方にシーティング体験やシーティングの調整を提供して、とても喜んでいただきました。その時に時間の都合でシーティング体験ができなかった方達やセミナーに参加できなかった方達からシーティングの依頼をいただき、中部地方の代理店であるアルテックブレースのシーティング事業部の場所を借りて出張シーティング・クリニックを提供することになりました。
当初は数人からの依頼だったのですが、セミナーでシーティングを提供した方たちに姿勢の改善によって良い効果が現れたことが評判を呼んで希望者が増え、最終的には筋ジストロフィーと脳性麻痺のお子さん14名という大人数になりました。通常のシーティング・クリニックではひとり1時間半~2時間をかけて行うのですが、今回は午前10時から午後6時の8時間。そこで社員2名と代理店のスタッフ数名の協力を得て流れ作業でシーティング・クリニックを行いました。
私がショールームの少し高くなった展示台の上に陣取り、シーティング希望者が家族と一緒に順番に台の上に上がっていただきます。担当のスタッフも2名付き添います。まず相談を受け、現在使用している車いすと座位保持装置での姿勢を評価。次にマットテーブルに移っていただいて臥位と座位の評価および採寸を行います。姿勢の改善のためのシーティングの指示をスタッフにして、台から降りた場所で車いすとシーティングの設定や調整を行います。私はその間に次のシーティング希望者に取りかかります。別のスタッフ2名と共に台に上がっていただき前者と同様の評価を行います。シーティングの設定や調整をしていた方の用意ができるとまた台の上に上がっていただき、姿勢とシーティングのチェックをして最終調整を行います。このような手順で8時間がんばってシーティングを提供。時間内に14名全員にシーティング体験をしていただくことができました。これはシーティングができるスタッフ7名の協力があってできたことです。当日は子供さんの担当のPTの方たちにも見学に来ていただきました。日常的に関わっている方の意見をお聞きすることができたのでベストな環境でシーティングを提供できたと喜んでいます。私が目指す「地元にシーティングを提供できる人のいる環境の実現」にかなり近づていると実感しました。
シーティング・クリニックの後には嬉しい感想をたくさんいただきました。今回のクリニックでシーティングを初体験した方と前回のセミナー後にシーティングを搭載した新しい車いすを手に入れて、今回再調整した方の感想のいくつかをご紹介します。「座らせた瞬間に息子の表情が変わり、座っていて1時間経った頃に「あ~楽」と息子が言ったのです。それまでは1時間も座っていることが辛かった息子がです。」「短い時間でしたが、息子の身体はみごとに前わんが改善され、いい姿勢で座れていました。」「シーティングでわが子の生活はガラッと変わり、現在はボッチャに打ち込み、先日は大阪の大会にも遠征していくほどになりました。」「新しい車いすに乗ったわが子はまるで別人のように生まれ変わりました。行きたいところに人の手を借りず行くことが出来る!スーパーでの買い物も一人でお菓子売り場や、ゲームコーナーに一直線・・・たったこれだけの当たり前の経験が今までは出来なかったのです。電動車いすの性能はもちろんですが、しっかりシーティングされたわが子は、安心してこの車いすに身体を預け、のびのびとイキイキと日々アクティブに変身していったのです。そして車いすマラソンでは断トツ一位で優勝したり、障害者スポーツのボッチャと出会い競技者として目覚しい成長を遂げました。」「骨盤や体をしっかり固定することが出来たため、一日中座っていても姿勢がほとんど崩れません。よって側彎もそれ以上の負担をかけることがなくなっているように感じます。」「また目から鱗の発見!が多々あり、大変勉強になりました。」「山崎氏の著書「運命じゃない!」を読んで理解していたつもりになっていましたが、実際にシーティングクリニックを受けて目からウロコが落ちた気分です。「百聞は一見にしかず」たくさんのお友達にお伝えしてみんなにも幸せになってもらいたいです。」「シーティングによって車いす生活が楽になり、人生を楽しく過ごせる方がどんどん増えていってほしいです。」
1日に14人のシーティングをするという大変な1日でしたが、シーティング・クリニックを受けた皆さんに、姿勢の変化に驚いていただいたり、喜んでいただいたりして、とても充実した嬉しい1日でした。皆さんの笑顔で1日の疲れは吹っ飛んだという感じでした。このような大規模なシーティング・クリニックを東京以外で行うのは初めての経験でしたが、ぜひまた開催したいと思いました。参加者の方にも満足していただきましたが、代理店と弊社のスタッフにとっても良い経験になりました。依頼をいただければこのような出張シーティング・クリニックを全国で開催したいと思います。
東京では障害児だけでなく、成人の障害者や高齢者の方のシーティング・クリニックも開催しています。痛み、変形、褥瘡などの二次障害、姿勢や車いすについて悩んでいる方は、ぜひ一度無料のシーティング相談・体験会であるシーティング・クリニックを体験してみてください。
シーティング・クリニックのお申し込みはメールでご相談いただくか、私の会社のホームページからシーティング・クリニック依頼フォームを記入して送付していただきます。現在の車いす上での姿勢や状態について理解するために写真もお送りいただくことがあります。シーティング・クリニックのご依頼はこちらからどうぞ。
三重県と愛知県の特別支援学校で障害児セミナー
<2009年8月31日、10月6日>
静岡県の特別支援学校に続き、三重県の城山特別支援学校 草の実分校からも障害児と家族と先生のためのシーティングセミナーを依頼していただきました。このセミナーのきっかけも私の本「運命じゃない!シーティングで変わる障害児の未来」でした。出版した本の影響の大きさに驚くともに感激しています。
当日は午後に2時間半のセミナー(講義)だけをする予定でしたが、シーティング体験の依頼を3名の方からいただき、講義の時間を変更することができなかったので変則的にシーティング体験を午前中のセミナーの前に提供しました。
1人目の体験希望者は自操可能な女子生徒。側彎がありましたが、マットテーブルで評価してみると骨盤の傾きを戻すことができたので、同様に設定した車いすでシーティング後の姿勢を体験していただきました。2人目はさらに側彎の進んだ男子生徒。コルセットを着用していましたが、マットテーブルで評価してみると可動性がまだ残されていたので、コルセットを外して車いすでシーティングを提供しました。適切なシーティングとラテラルサポートによる保持はコルセットの替わりにもなることを体験していただきました。3人目は体と頭が片側に倒れて、筋緊張がとても強いお子さんでしたが、シーティングとポジショニング・ベルトによって緊張が緩和し、倒れる頭も保持することができました。姿勢の変化に皆さん驚かれていました。
午後1時半からのセミナーには教員の皆さんと障害のある生徒と保護者を中心に、城山特別支援学校草の本校や近隣のリハセンターからも参加していただきました。愛知県からも参加していただき、大勢の方の前でお話しすることができて嬉しかったです。セミナーでは途中に休憩を挟みながら姿勢とシーティングについてお話ししました。内容は、重力と姿勢の関係、二次障害の防止に必要なこと、車いすの設定による姿勢への影響、クッションや座位保持装置の素材の影響、ずり落ちた姿勢の原因・問題と改善方法、片側に傾く姿勢の原因・問題と改善方法、拘縮への対応、重度な障害への対応。最後に二次サポートについてお話ししました。ポジショニング・ベルトの活用と筋緊張の緩和、そしてヘッドサポートによる頭部の保持です。長時間の講義でしたが皆さん熱心に最後まで聴いてくださいました。セミナー後にはシーティング体験の依頼が集まり、時間の許す限りシーティングを提供しましたが、なんと新幹線の時間に間に合わなくなって時間を変更して東京に帰りました。でも多くの方達に喜んでいただけたので、それに見合うだけの価値があったと嬉しく思っています。三重県でもシーティングが拡がって二次障害が防止できるようになり、残存機能の発揮が可能になればと願っています。
三重県でのセミナーの約1ヶ月後に愛知県豊田市の豊田養護学校から依頼をいただき、シーティングの講演をしました。この依頼は参観日の午後の時間を使って保護者の方達に姿勢とシーティングのお話を聞いていただくというものでした。1時間半という短い時間だったので、技術的なことは省略して、二次障害の原因となる姿勢の考え方とシーティングによって何が可能になるかについてお話ししました。皆さんとても熱心に聴いてくださいました。私が悪い姿勢について話す度にうなづいている保護者の方がとても多く、皆さんご自分のお子さんと重ねて私の話を聞いてくださったようです。
講演が終了すると、参加者の方達から子供さんの姿勢を見てほしいとの依頼が届きました。私は車いすがないので完全なシーティング体験はできないが、姿勢の相談を受け、現在使用している車いす上でどのような保持をすれば姿勢の改善ができるかを見せることはできると答えました。最初は2~3名依頼でしたが、私が両手を使って保持することで姿勢が改善されるのを見た方たちから「私も」「私も」と依頼が増え、最終的には十数名の方のシーティングの相談に乗り、姿勢の改善を見せることができました。残念だったのは、1名だけ変形が完全に固定されていて矯正が不可能だったことです。可動性が全くなくなってしまうと、悪化の防止はできますが、姿勢の改善は困難になります。体を動かしていれば可動性は失われません。運動やリハビリの大切さについてぜひ理解していただきたいです。
ロータリークラブで車いすの可能性について講演
<2009年9月3日、6月3日>
王子ロータリークラブのメンバーである医師の先生から依頼をいただいて、ロータリークラブの例会で卓話と呼ばれる講演をすることになりました。「車いすの話」というご依頼だったのですが、通常のセミナーや講習会でお話ししている内容は専門的過ぎる上、卓話は30分という時間制限があるため講演の用意にかなり苦労しました。色々と考えた結果、「車いすの可能性」というテーマで、サブタイトルの「車いすになっても快適で楽しく自由な生活は可能です。」ということを伝えるプレゼンテーションを作りました。
年配の方や高齢の方には、車いすに対して悪いイメージを持っている方が多く、「車いすなんかになったらおしまいだ」と思われている方がとても多いのです。その結果、高齢になって足腰が弱くなったり脳卒中等で歩く事が難しくなったりしても車いすに乗るのをこばみ続けてしまいます。しかし無理をして歩くことで転倒して骨折する方はとても多く、入院から寝たきりになったり、認知症のきっかけになってしまうことも多いのです。
私が出張でよく行くアメリカやカナダでは、高齢の方や歩行可能な障害者の方が車いすを上手に利用しています。空港で、ショッピングセンターで、レストランで、講演で、そして様々な目的のための外出時に。電動車いすやスクーターもよく利用されています。そして皆さん人生をとても楽しんでいるのです。「別に五体満足な人を真似しなくても、やりたいことが楽にできる方が良い」という考えです。
今回の講演では、過去にシーティングでお手伝いした高齢者と障害者の多くの成功例をお見せして、車いすでも快適に楽しく過ごすことができること、車いすを使用するのは悪いことではないこと、そして一般的にはあまり知られていない車いすの様々な可能性についてお話ししました。30分の時間だったので、かなり早口で話してしまいましたが、メンバーの皆様からはとても良い反響をいただきました。
さらにゲストとして例会に参加されていた日暮里のリバーサイド・ロータリークラブの方から依頼をいただき、3ヶ月後の9月3日の例会でお話しさせていただきました。こちらの例会でもメンバーの方々は講演をとても良く受け止めていただきました。今回の経験から、車いすや障害者と関係ないと思われがちな皆様にお話しすることも大切だと再認識しました。講演の後に話しかけていただいたメンバーの中にはご家族に障害児や障害者、そして高齢者がいらっしゃる方も少なくなかったです。実際にメンバーの方の高齢のお母様の車いすのお手伝いをする機会もいただきました。そのご家族には、姿勢が改善され、離床時間が延びたことをとても喜んでいただけて嬉しかったです。
今回のような講演にご興味のある方はぜひご依頼ください。車いすの可能性について知っていただくことで、万が一ご家族やご自身が車いすになられても怖くないと思います。
シーティング・クリニック大盛況!
<2009年8月~9月~>
以前から東京と大阪で開催している無料のシーティング体験・相談会であるシーティング・クリニックですが、昨年5月に私が書いた障害児の家族向けの本「運命じゃない!シーティングで変わる障害児の未来」が出版され、今年6月末に全国肢体不自由特別支援学校PTA連合会から依頼を受けて書いた障害児の姿勢に関する記事が掲載されている「アイムファイン」が発売されてから、シーティング・クリニックの依頼が急増しています。記事のタイトルである「変形・脱臼・拘縮・異常な筋緊張などを障害児だからとあきらめていませんか?あきらめる前に、できることはまだたくさんあります。シーティングはその方法のひとつです。」というメッセージが多くの皆様に伝わってとても嬉しいです。クリニックの依頼は関東・関西に留まらず、東海地方、そして四国・中国地方・九州からおいでいただいた方もいらっしゃいます。大感激です!特にこの8月~9月は障害を持ったお子さんのシーティング・クリニックのラッシュでした。多い時には1日3人。そのような日が毎日続く週もありました。
これからシーティング・クリニックを利用される方も多いと思いますので、この機会にシーティング・クリニックでどんなことをするかを説明させていただきます。
シーティング・クリニックの概要
シーティング・クリニックは、私の会社のホームページから依頼していただき、メールや電話で日時を決定します。一般的にはご本人とご家族に来社していだきますが、学校の先生やPT,OT等の担当者の方が一緒に来社されることもあります。 まず最初にお話を伺います。困っていることや抱えている問題、そして将来の目的などについてお話していただき、必要であれば姿勢保持や車いすそしてシーティングなどについての情報や知識を提供します。 次に現在使用されている車いす上での姿勢をチェックします。現在、どのような車いす・クッション・座位保持装置などに、どのような状態で座っているのかを調べ、座位姿勢についても評価します。
次にマットテーブルに移っていただき、仰臥位(仰向けに寝た状態)での評価を行います。股関節・膝関節・足関節の可動域のチェックや骨盤の傾き、側彎や円背などの状態についても評価します。同時に採寸を行い、スタッフが車いすとシーティング・システムを設定し始めます。
次にマットテーブル上での座位の評価を行います。身体を支えながら座っていただき、骨盤の傾きや背骨の状態、側彎・円背・変形・拘縮・脱臼などについての評価を行います。その時に車いすとシーティング・システムに必要な姿勢保持用のパーツを試して、実際に使用するものを決定します。
設定が終わったところで、車いすに移っていただき、ベルトの位置、ラテラルサポートやヘッドレストの位置や高さと角度、変形や拘縮への対応などについての調整を行います。設定が終わったら、シーティング後の姿勢について評価します。機能性の評価をしながらさらに微調整を行ってシーティング・クリニックは終了です。シーティング・クリニックの所要時間は、体の状態によって異なりますが、通常1時間半~2時間かけて丁寧に行っています。
シーティングを体験した皆様は姿勢や表情の変化に驚き、たいへん喜んでいただきます。今までは考えてもいなかったような良い姿勢で座れたり、倒れなくなったり、筋緊張が緩和されたり、表情が大きく変化したり、車いすがこげるようになったり、機能性が向上したり、個人によって様々ですが、多くの良い変化が現れています。遠くからおいでいただいた方にも喜んでいただけて良かったです。 この記事の写真は9月にシーティング・クリニックでシーティング体験をされたご家族に協力していただきました。ご両親にはお嬢さんの姿勢の変化にとても喜んでいただきました。
シーティング・クリニック直後にも様々な変化が現れますが、私がもっと楽しみにしているのは使い始めたあとです。多くの場合、姿勢の改善によって様々な良い変化が現れますが、脳性麻痺のお子さんなどには自分の意志で動かせる体の部位(頭・手・腕・足など)が現れたり増えるなど、機能性の向上がよく見られます。我々の目的はシーティングによって二次障害を防止すると共に、残存機能を最大限に発揮できるようにして作業や活動に繋げることです。
シーティング・クリニックを受ける方が遠隔地にお住まいの場合、地元で車いすを担当している方や車いす業社の方と一緒に来社いただいてシーティング・クリニックを受けていただくこともあります。車いすを製作する方にも理解いただくことで、クリニックで設定したものと同様の車いすとシーティングを提供できるのです。
これまでにも東京の他に大阪や名古屋に出張してシーティング・クリニックを提供したこともあります。弊社の社員や代理店の担当者にはシーティングが提供できる者も多いので、彼らが対応するのであればこちらから伺ってシーティングの体験をさせていただきますが、私によるシーティングをご希望の方はご依頼ください。東京では障害児だけでなく、成人の障害者の方や高齢者の方もシーティング・クリニックでシーティングを体験していただき、とても喜んでいただきました。姿勢や車いすについて悩んでいる方はぜひ一度シーティング・クリニックを体験してみてください。
シーティング・クリニックのお申し込みはメールでご相談いただくか、私の会社のホームページからシーティング・クリニック依頼フォームを記入して送付していただきます。現在の車いす上での姿勢や状態について理解するために写真もお送りいただくことがあります。シーティング・クリニックのご依頼はこちらからどうぞ。
静岡県立東部特別支援学校で障害児セミナー
<2009年7月30日>
静岡県の伊豆の国市にある東部特別支援学校で障害児と家族と先生のためのシーティングセミナーを開催していただきました。このセミナーのきっかけは、生徒のお母さんが私の本「運命じゃない!シーティングで変わる障害児の未来」を読んでくださって学校の先生に紹介し、先生方や保護者の方達が読んでくださったことで今回の依頼をいただいたのです。感激でした。
当日は先生達と保護者の方達、そして伊豆半島の他の特別支援学校4校からも参加者が集まってくたさいました。さらに私が「アイムファイン」に書いた記事を読んで、私のホームページからセミナーを知った方が沼津市や浜松市からも参加していただいてとても嬉しかったです。
セミナーでは、午前9時半から12時半まで、途中に休憩を挟みながら姿勢とシーティングについて詳しくお話ししました。内容は、重力と姿勢の関係、二次障害の防止に必要なこと、車いすの設定による姿勢への影響、クッションや座位保持装置の素材の影響、ずり落ちた姿勢の原因・問題と改善方法、片側に傾く姿勢の原因・問題と改善方法、拘縮への対応、重度な障害への対応、ポジショニング・ベルトの活用と筋緊張の緩和、ヘッドサポートの活用などです。長時間の講義でしたが皆さん熱心に最後まで聴いてくださいました。
昼食を挟んで午後からはシーティング体験を希望された障害のある生徒さんに実際にシーティングを提供しましたが、その前の昼休みにも外部から参加された方のご依頼で予定していなかったシーティング体験を提供しました。就学前のお子さんでしたが、姿勢が改善し、以前よりもティルトの角度を起こせるようになり、首が安定して自分で見回せるようになり、お母さんにはとても喜んでいただけて嬉しかったです。
午後1時半から、シーティング体験を希望された生徒さん4名にシーティング体験を提供。最初のお子さんはかなり変形が進行し、側彎や拘縮もあって、顔が左に倒れる傾向がありましたが、シーティング後は姿勢が改善され前を向くことができるようになり、お母さんと担当の先生に喜んでいただきました。二人目のお子さんも重度で、側彎に加えて背面に大きな変形があり、顔が右を向いてしまっていて辛そうな姿勢をとってしました。シーティングによって姿勢を改善でき、前を向けるようになって快適そうでした。ご両親にとても喜んでいただいて嬉しかったです。
3人目のお子さんは、背中の円背傾向がとても強く側彎もあるので、前と横に倒れやすく、頭は前に落ちてしまっていましたが、シーティング後はとても良い姿勢で座っていただくことが可能でした。 四人目のお子さんは姿勢が安定せず、頭と体が前に倒れる傾向がありましたが、姿勢を改善することができました。しかしこれまでの姿勢の影響が強くて、姿勢の改善後も頭だけが前に倒れる傾向があったので、前頭部サポートを使用して頭を支えられることをお見せしました。シーティングでは、それまでの悪い姿勢の影響やくせを直すために一定の期間に体幹ベルトや前頭部/側頭部保持を提供することもよくあります。
その後、飛び入りで1名、とても強い筋緊張で困っている生徒さんのシーティングをすることになりました。座面・背面・足部・頭部など全てのシーティングの設定と調整をしてから骨盤ベルトで骨盤を保持すると筋緊張を緩和することができ、見学していた皆さんは緊張がとれたことにとても驚かれていました。適切なベルトと締める角度によって筋緊張の緩和は可能なのです。
午後3時半終了予定を1時間以上延長することになってしまいましたが、最後まで残ってくださった方も多く、とても充実した一日でした。講義の部では多くの先生達と保護者の方々に姿勢や二次障害、悪い姿勢の影響と改善方法について知っていただき、シーティング体験(実演)の部では実際に姿勢の改善が可能なことを見ていただくことができました。とても有意義なセミナーを提供することができ、とても満足した嬉しい気持ちで東京まで運転して帰りました。
障害児と毎日関わる家族と学校の先生に、どのような姿勢がどのような悪影響を体に及ぼすか知っていただくことができ、その防止方法についても理解していただいたので、こどもたちの姿勢が変わって行くと実感できました。すでに他の多くの特別支援学校からもセミナー依頼が届いていますが、可能な限り多くの方に姿勢についての正しい知識を伝えていきたいと思っています。
愛知県岡崎市で障害児と家族のためのセミナー
<2009年7月26日>
愛知県岡崎市の障害児のお母さんたちから依頼をいただいて障害児と家族のためのシーティングセミナーを開催しました。当日は筋ジストロフィーと脳性麻痺のお子さんと家族、そして学校の先生や病院・リハビリ関係者まで、岡崎市と名古屋市を中心に多くの方々が集まってくださいました。さらに「アイムファイン」の記事を読んで、私のホームページからセミナーについて知った方が浜松市などからも参加していただいて感激でした。
セミナーでは、午前9時半からお昼まで休憩をとりながら姿勢とシーティングについてお話ししました。重力と姿勢の関係など、初めて知る情報も多かったようで、皆さん熱心に聴いてくださいました。昼食を挟んで午後にはモニターを希望された障害のあるお子さん5人に実際にシーティングを提供し、シーティングによる姿勢の改善についてお見せしました。倒れていた姿勢が改善された方、筋緊張で上がっていた足がフットレストに降りた方、痛みが軽減された方、自操できるようになった方、皆さん姿勢や機能性の変化を実感していただけて嬉しかったです。
障害を持つお子さんの家族や学校の先生のように毎日関わる方々が、何気なくとらせていた姿勢が、実は体に有害な姿勢だったり、諦めていたことが可能だったり、色々なことに気付いていただけたセミナーだったと思います。セミナーをする度に、まだまだ姿勢に関する正しい情報が障害児・者に関わるすべての方達に伝わっていないのを実感します。これからも可能なかぎり多くのセミナーやシーティング体験を全国で提供して理解を深め、車いすを使用する方の二次障害の防止と機能性の向上に努めていきたいです。
からだに障害を持ったお子さんのご家族や関係者の方へのメッセージ
<2009年6月22日>
2007年に全国肢体不自由児特別支援学校PTA連合会(通称全肢P連)から依頼をいただいて、東京で開催された中央研修会で講演させていただいたことがありましたが、今年また新たなご依頼をいただき、全肢P連の会報にシーティングについての記事を書かせていただきました。
3ページの記事なので、シーティング技術についてはあまり詳しくお話しできないと思い、シーティングをご存じない方へのイントロダクションとして記事を書かせていただきました。タイトルは「変形・脱臼・拘縮・異常な筋緊張などを障害児だからとあきらめていませんか?あきらめる前にできることはまだたくさんあります。シーティングはその方法のひとつです」。「シーティングで何ができるか」を中心にいくつかの成功例についてもお話ししています。
この記事を読んでシーティングや姿勢保持に興味を持っていただいた方が、セミナーに参加したり、昨年発行した私の本「運命じゃない!シーティングで変わる障害児の未来」を読んでいただいて、お子さんの姿勢に関する問題や二次障害の予防や悪化防止に繋げていただいたり、残存機能が最大限に発揮できるようになればと願っています。
全肢P連の会報は、25号からアイムファインという障害者向けのフリーペーパー(全国誌)と統合され、全国の特別支援学校に配布されることになりました。私の記事の掲載された第26号は6月22日に発行になり、30日に全肢P連加盟の特別支援学校と定期購読者に配布されました。アイムファインの情報や定期購読についてはこちらからどうぞ。
I’m Fine 26号
キッズフェスタ2009
<2009年4月25-26日>
今年も障害児とその家族のための福祉用具展であるキッズフェスタ、正式名称「キッズフェスタ アンダー18・第8回こどもの福祉用具展2009に参加しました。会場は今年もTRC東京流通センターでしたが、昨年よりも大きな1階の第2展示場 Eホールを使って開催されました。
今年もアクセスインターナショナルとしてブースを出展し、新しい車いす、シーティング用の製品、シーティング付きバギー、スタンディング製品、様々なポジショニング・ベルト類や頭部サポート製品、そしてコミュニケーション機器やコンピュータを操作するための機器、環境制御装置などを展示し、多くの方に体験していただきました。初日は大雨だったにもかかわらず、とても多くの方にブースに来ていただき嬉しかったです。
昨年たいへん好評だったシーティング体験を今年も行いましたが、3人で別々に対応しても一日中絶える間がないほど多くの方に来場していただきました。皆さんシーティング後の姿勢の変化にとても驚いて、喜んでいただきました。昨年のキッズフェスタでシーティングを初体験して、既にシーティングを使用されている方も多く来場していただきました。そのような方にはシーティングの再調節を提供したり、コンピュータやコミュニケーション機器を体験していただいたりました。できなかったことが、姿勢の改善によってできるようになり、可能性が広がっていくのを一緒に実感させていただけるのはとても嬉しいです。今後もこのような感動をもっと多くの皆様に体験していただきたいです。
シーティング体験はいつでも受付いますので、お気軽にお問い合わせください。メールでのお申し込みはこちらからどうぞ。(下の写真は、昨年シーティングを試されたお子さんのシーティング前後と一年後の写真です。)
ISS2009・第25回 国際シーティング・シンポジウム
<2009年3月12-14日+3月11日>
久しぶりに米国で開催された国際シーティング・シンポジウム(ISS)に参加して勉強してきました。2005年まで毎年参加していたISSですが、2006年の膀胱癌の手術後に右手の麻痺など様々な問題が起こってしまい、海外に勉強に行けない状況が続いていました。やっと全ての問題を解決することができ、体調も回復したので、今回4年ぶりに参加することができました。その間も米国やカナダからセラピストを招いて日本で勉強会を開催していましたが、久しぶりに思いっきりシーティングの勉強をすることができ、とても有意義な4日間でした。
今回のISSは第25回の記念大会でした。第一回は1983年だったそうで、2回目が2年後に開催されたので実際には26年目になります。25周年記念パーティではその26年間の歴史のスライドが上映され、私自身もとても懐かしく拝見しました。私がシーティングセミナーを初めて日本で開催したのが1993年3月なので、北米でシーティングが普及しだして10年目から日本に紹介していることになります。最近では日本でも市民権を得てきたシーティング。これからも更なる普及のために、更なる勉強を続けて活動していきたいです。
いつものようにISSでは朝から晩まで様々な講習が行われ、シーティング関連製品の展示会も同時開催されました。シンポジウムの前日に開催されたプレ・シンポジウムに参加しました。私が選んだクラスは「上級者向け障害児シーティング~機能性の向上に向けて」朝8時から8時間のクラスで、午前中には医学・解剖学的な面からの講習を行い、午後にはシーティングの技術的なアブローチと数人の症例による実例の紹介がありました。今までに学んだことを再確認すると共に新たな情報や知識も多く得ることができました。しかし症例に関しては私自身も負けていないとちょっと自負してしまいました。写真は講習の様子(左)とシンポジウム初日のオープニング(開会)セッションの様子(右)です。
シンポジウムでも朝から晩まで講習でした。私が受講したクラスは「体の形状に合わせたコントゥアシーティングのカスタム化」「シーティングの座面と背面と使用者の関係」「外傷性脳障害のシーティング」「施設での現実的な抑制帯の使用」「車いす使用者の呼吸と嚥下問題への対応」「二次障害防止のための障害者・再評価・再リハビリプログラム」「脳性麻痺とジストニアの難しいシーティングへの対応」。さらに講演やフォーラムもありました。ISSの問題は、ひとつの時間帯に対して受講したいクラスを4~8のクラスから選択しなければならないこと。魅力的なコースが多く、選ぶのが大変です。さらに私のようにフルで講習を受講すると、同時に開催されているシーティング機器展に費やす時間がとても少なくなってしまうことです。私の場合、取引先との会議や商品トレーニングも予定されていたので、車いすクッションのクラスの受講を止めて時間を作ったほどでした。しかしシーティング機器の方も新製品がたくさんあって、今後日本に紹介するのが楽しみです。
今回のISSでは多くの友人のセラピストと再会することができたのも嬉しい出来事でした。私のシーティングの恩師でもあり、1993年からの3年間と1997年に日本へのシーティングの普及のために計26回のセミナーを私と一緒にしてくださったジョーンさん(写真)との再会では大感激。やはり私のシーティングの先生であり、日本にもお招きしたこともあるシャロンさんやブレンリーさん。今回も彼女たちの講習に参加させていただきましたが、レベルの高いシーティング・スペシャリストの方達からお話を伺うのはいつもとても有益です。その他にも著名なセラピストのキャリー、ジーン、ディビッド等々とも再会。友人としても楽しく嬉しい再会でした。また彼女たちを日本に招いてセミナーを提供し、日本のセラピストの方々に情報を伝えてほしいです。
恩師で友人のシーティング・スペシャリスト・ジョーンさん
ISS2009・第25回 国際シーティング・シンポジウム その2
<2009年3月12-14日>
今回のISSで講習会の他に印象に残ったイベントがあったのでご紹介します。それは国際シーティング・シンポジウム25周年記念パーティとクロージング(閉会)セッションでのスピーチでした。最終日前夜に開かれたパーティではISSの26年の歩みについてスライドが上映され、参加者はみんな懐かしく思い出しながら食事とお酒を楽しみました。宴もたけなわになり、そしてパーティのゲストとして登場したのがスタンダップ・コメディアンのジョッシュ・ブルーさん。元々コメディやお笑いは大好きな私はとても楽しみにしていたのですが、なんとジョッシュはCP(脳性麻痺)の青年だったのです。しかし彼は障害者だからこのイベントに呼ばれたのではなく、有名なコメディの勝ち抜き番組の優勝者で、北米では有名なコメディアンだそうです。彼のステージをすぐ前のテーブルで観ていた私でしたが、アメリカ人の友人と共に最初から最後まで大笑い。1時間近くも涙を流して笑ってしまいました。今回は観客がみんな障害者関係者だったので、いつもよりも障害者ネタ全開。それもツボに入ったのでしょう。大ファンになったのでジョッシュさんのDVDも購入しました。英語が解る方はぜひJosh BlueさんのDVDを観てください。超お薦めです。
さらに心に深く印象に残ったのは最終日のクロージング(閉会)セッションでのスピーチ。例年はセラピストや学者のスピーチが多く、それも素晴らしいのですが、今回は特別でした。「障害者支援技術とともに生きる(Living with Assistive Technology)」と題された講演は、重度の脳性麻痺で四肢麻痺・口話も不可能なフェイ・ワーレンさんと彼女に関わった人達による共同講演でした。まずはお母さんがフェイさんの生い立ちからこれまでについて説明。次にシーティング・スペシャリストのPTとリハブ・テクニシャンが彼女のシーティングと車いす操作について説明。次に担当医師が彼女の側彎の手術について説明。そして担当のSTがフェイさんのコミュニケーション方法の変化や機器について説明。最後にフェイさん自身がコミュニケーション機器を駆使して用意したスピーチを自分のタイミングで進めながら講演を行いました。現在は大学を卒業して全国で講演も行っているそうです。ちょうどシーティングの歴史と共に歩んできたようなフェイさんの人生。彼女とお母さん、そして関係者の皆さんに参加者からはスタンディング・オベーションでした。自立のための支援にはチームワークが不可欠なことも再確認できました。
素晴らしい講演で締めくくられた25周年記念の国際シーティング・シンポジウム。参加することができて本当によかったです。これからも可能な限り毎年参加して知識と情報を得て日本に紹介していきたいです。
(写真はクロージング(閉会)セッションの様子、そしてフェイさん親子と関係者の方達です。)
東京と茨城で障害児セミナー
<2009年3月8日,22日>
東京と茨城で違ったタイプの障害児セミナーを開催しました。東京のセミナーは東村山市の重度障害児(者)の家族の会から依頼をいただいた障害児(者)と家族のためのセミナーです。日曜日の午後1時から一時間半ほど姿勢とシーティングについてお話しした後、休憩を挟んで、参加された障害のある方々に実際のシーティングを提供し、シーティングによる姿勢の改善についてお見せしました。参加された方々は、初めて聞く重力と姿勢の関係や、二次障害の防止、そしてシーティングによる姿勢の改善の話と実演に驚かれていました。今後に役立つセミナーが提供できて良かったです。
22日のセミナーは、茨城の代理店の主催によるにとPT,OTを中心としてセミナーでした。障害児のシーティングを中心とした総合セミナーという形で、午前2時間、午後3時間を使って、重力の姿勢への影響、二次障害とその予防と悪化の防止、骨盤の傾きと姿勢の関係、シーティングによる姿勢の改善、重度な障害や変形・拘縮・脱臼・筋緊張への対応などについてお話しし、製品を使ってクッションと場付くサポートの活用、ラテラルサポートの使用方法、ポジショニング・ベルトの活用、頭部保持のためのヘッドサポートの活用について説明しました。参加者の方々にはセミナーの内容に満足していただきましたが、このセミナーが「障害児向け」として参加者を募集したのにも関わらず、高齢者関係のPT,OTな方も何人か参加されていたので、茨城での高齢者向けのセミナーの必要性も感じました。
シーティングの基本は障害児も高齢者も同じですが、障害児(者)には特に座位保持と変形防止についての内容が求められ、高齢者には離床時間の延長と褥瘡予防・再発防止に興味が集まります。対象者も障害児は脳性麻痺の方が中心、高齢者は脳卒中の方が中心なので対応が異なります。今後も皆さんの異なったニーズに合ったセミナーを提供して、実際に問題解決に役立ち、効果を実感していただける情報や技術をお伝えていきたいです。
仙台セミナー、茨城研修会、埼玉講習会、嬉しい再会
<2009年2月21,24,28日>
2月21日に仙台で数年ぶりとなるシーティング総合セミナーを開催しました。当日は高齢者関係のPT,OT,介護関係者を中心に多くの方に集まっていただきました。宮城県だけでなく、秋田、岩手、山形、福島、そして長野からも参加いただき感激でした。朝10:00から午後4:00までという長時間でしたが、皆さん熱心に講義を聴いていただいて、嬉しかったです。一昨年から一緒に活動せていただいている岩手県のようにシーティングが普及する県が増えることを願って、今後もお手伝いしていきたいです。
24日には茨城県の牛久愛和総合病院の褥瘡委員会からご依頼いただき、医師と看護師を中心に高齢者のシーティングと褥瘡予防・再発防止に関する研修会を開催させていただきました。参加者は褥瘡の治療に関わっている方々なので、既に褥瘡の手術・処置・薬剤・栄養等は適切に提供されています。それらの治療方法に加えて車いす使用再開時に褥瘡予防に最適な姿勢を提供することで再発が防止できること。予防としても使用できることをお話ししました。100名以上の方に参加していただき、嬉しかったです。
この研修会ではとても嬉しい再会がありました。実はこの研修会開催の発端となったのは私が書いた本「運命じゃない!シーティングで変わる障害児の未来」を院長先生が書店で発見して読んでくださったことなのです。そしてこの院長先生は、私が米国から帰国した直後に診察していただいた泌尿器科の先生でした。20年以上も前の当時、まだ理解されていなかった車いすで脊髄損傷者の私を親身になって考えてくださり、私に合った排尿方法等を考えてくださった先生とは20年ぶりの再開でしたが、私の心の中では素晴らしいお医者様として忘れることはありませんでした。そんな先生が私の本を発見し、読んでくださって、私に連絡をいただくと共に、病院の院内誌に私と拙著のことを書いてくださったのが褥瘡委員会の先生の目にとまって今回の研修会となったのです。研修会の前後には先生とお話しする機会をいただきましたが、本当に嬉しい嬉しい再会でした。
さらに28日には埼玉の病院のPT,OT,STといったリハビリスタッフの方達に仕事の終わった用型に集まっていただき、シーティング講習会を開催しました。初回としてシーティングの概念や基本的なシーティングについてお話ししましたが、次回は実践的なシーティング技術をご指導する予定。何回かの講習を提供させていただき、シーティング技術を実務で活用いただけるレベルにまでご指導させていただきたいと考えています。
一日に5~6時間という長時間の総合セミナーから、興味のある分野にフォーカスしたり、段階的にご指導する1時間半程度の講習会まで、シーティングセミナーには様々な形があります。様々な職務や立場の方に向けてニーズに合ったセミナーや研修会をここれからも提供していきたいです。
脊髄損傷の受傷から30年
<2009年2月17日>
私が米国留学中に転落事故によって脊髄を損傷して車いす使用者になったのは1979年2月17日。それから30年が経ちました。救急病院、リハビリ、高校復学、大学進学、アメリカ一周旅行、帰国、就職、褥瘡との戦い、独立、アクセスインターナショナル設立、高機能のモジュラー型車いすの日本への紹介、シーティングの日本への紹介、全国でのシーティング普及活動、バリアフリー化への活動、そしてユニバーサルデザインの街づくりの活動、水泳への復帰、競泳、全国大会での優勝、パラリンピックへの出場、100m平泳ぎでの6位入賞、日本初の身障者スポーツ情報誌アクティブジャパンの創刊、障害者スポーツに対する日本社会の変化・・・。30年間、様々なことに関わり、挑戦してきました。成功したこと、失敗したこと、まだ挑戦中のもの。まだまだ自分のやるべき事はたくさんあります。現在では脊髄損傷者の寿命は健常者とほぼ同等になったと言われるようになりました。あと30~40年は頑張れると思うので、これからも色々なことに挑戦して社会を良い方向に変えていきたいです。
受傷後のリハビリ病院で「脊髄損傷は現代の医学では治せないけれど、10年か20年して医学が進歩したら治る可能性がある。そのためにも足が硬くなってしまっては脊髄が繋がっても歩けないのでROM(関節可動域運動)を毎日続けなさい。」と言われたのを信じて運動を続けてきたおかげで、今でも下半身の関節はとても良い状態を保っていて、快適な日常生活に役立っています。しかし医学の進歩はまだ脊髄損傷の治癒を可能にはしていません。クリストファー・リーブの財団の研究や人間のiPS細胞の研究によって、治癒に向けて希望が持てる時代になってきました。そのためにも関節の動きの維持や変形の防止を含めて、二次障害を発生させないことが不可欠。私のライフワークであるシーティングの目的にも姿勢の改善による二次障害の予防があるので、私は自分のできる範囲で車いす使用者の方の二次障害を防止するお手伝いを続けていきたいです。
私の事故からアメリカでのリハビリ、復学、大学生活、そして帰国後の日本での活動を書いた本「愛と友情のボストン」が昨年6月に再版されました。この本には30年前のアメリカで、障害があることをまったく気にせずに一人暮らしをして学生生活を満喫し、様々なことにチャレンジしている様子が描かれています。バリアフリーという意味では日本はアメリカを追い越した面さえあります。しかし障害者の社会参加、職場復帰、そしてユニバーサルという意味ではまだあと一歩です。私が生活していたアメリカ追いつき、追い越すために私のもうひとつのライフワークであるユニバーサルデザインの街づくりの活動も続けていきます。
以下は懐かしい写真です。左から、リハビリ病院で友人と。初めての講演。大学卒業。