2012年メッセージと活動

関東身体障害者水泳選手権大会

<2012年6月10日>
今年も関東身体障害者水泳選手権大会に出場しました。今年の会場は埼玉県障害者交流センタープール。この大会ももう26回。私は第一回から出場しています。今年は顔面麻痺を患ったこともあり、練習量がとても少なかったので100m平泳ぎはパスして、25mと50mの平泳ぎに出場しましたが、どちらのレースも納得のいくタイムは出せませんでした。
50m平泳ぎでは、一昨年まで大会記録を持っていた青年ほか4名とのレース。一昨年の大会で僕が大会記録を塗り替えたのですが、今回はスタートからリードを許し、45mでは何とか追いついて並んだものの、タッチの差で2位でした。広泳ぎで1位を取れなかったのは記憶にはないほど久しぶり。優勝した青年とは11月の日本選手権の50mと100mの平泳ぎでまた競うことを約束しました。若い選手が育ってくることは嬉しいけれど、負けるのは悔しいなぁ。

 

第20回褥瘡なおそう会

<2012年5月26日>
褥瘡の治癒を目指す医師と看護師が集まって、今年で第20回となる「褥瘡なおそう会」が開催されました。今年の会場は愛知県蒲郡市の三河三谷温泉ホテル明山荘。2日間に渡って褥瘡に関わる医師・薬剤師・看護師の講演と実際の症例を持ち寄ってのグループワークが行われました。
私は初日にシーティングの講演。前半が「褥瘡予防と再発防止のための姿勢について」後半が、そのためのクッションの選び方について話しました。臨床で褥瘡に係わっている、褥瘡に関する知識は高い看護師さんや医師の方でも、車いすについてはそこまで考えていなかった人も多かったようで、講演後に多くの質問や依頼をいただきました。講演後のグループワークでも、車いすの姿勢に問題のある方についてアドバイスできたのでよかったです。ぜひ車いすとシーティングを活用して褥瘡で悩んでいる人たちを助けていってほしいです。

 

 

お知らせ

<2012年4月>
2102年4月以降、私の最近の活動についてはfacebookが中心となっているためホームページでの報告が止まっています。時間を見つけてホームページにも活動についてアップしていく予定ですが、友人やお知り合いの方はfacebookで私を探してみてください。

ISS2012・第28回 国際シーティング・シンポジウム

<2012年3月3-5日>
プレ・シンポジウムに続き、国際シーティング・シンポジウム(ISS)開会。初日は朝8時半から開会宣言。今年は29ヶ国から1000人ほどの参加者ということで、やはりカナダ開催だとアメリカからの参加者が減って去年のアメリカ開催の1700人と比べて規模が小さくなっていました。今年は日本からも何名かの参加があってよかったのですが、ペーパー発表だけで勉強をしない人がいて残念でした。
今年の基調講演のスピーカーは栄養学と小児科の教授であるJohn Patrick氏。彼の先進国と中央アフリカの国々での経験から、障害児がどのような状況にあり、障害があることで生かされない国もあるというショッキングな内容でした。まとめとして、現在だけでなく将来を見据えたアプローチの重要性を伝えていただきました。
引き続き全体講演の1。スピーカーは車いすユーザーの整形外科学教授。テーマは車いすの進化。彼女の車いすの研究から、時代と共に進化してきた車いすについて話していただきました。1933年に初めて折りたたみ式の車いすが開発されたのは自動車の進歩によって車に積み込む必要性が生まれたから。第一次世界大戦から最近のイラク戦争までの戦争による死傷者に対する障害者数の割合がどんどん増えているのも障害者を取り巻く環境の変化を起こしたことも再確認しました。進歩し続ける車いすの開発にはテクノロジー、社会、環境、経済性の4つの角度から考えるという理論には納得でした。高齢者の介護に予算を費やすのではなく、使いやすくて快適な車いすを提供することで自立支援と介護軽減を実現することが可能だとまとめられていました。
全体講演の2は、奥さんが病気から頚髄損傷になったことで、彼女の使用する機器について最適なものを探し、状態の変化に対応していた旦那さんが、福祉機器の勉強をして、資格を取ってエクスパートになり、福祉機器の会社に勤め、何年か後に独立して車いすとシーティングの大手メーカーの代理店を立ち上げて活動するまでになったという体験談的な講演でした。今年の全体講演は、医師・教授・患者家族から業者という4つの角度からの話で、とても有益でした。

 

国際シーティング・シンポジウム初日講習
開会式の後、開場した展示会を少し見て、またすぐに講習へ。11:30からの2時間セッションとして選択したのは「Mobility Prescription from Infancy through Adolescence and Beyond (車いすの提供方法・幼少期から小学校・中学高校そしてその先へ)」。この講習では20年以上の車いすシーティングの経験のあるベテラン・セラピスト3人が障害児の年齢と成長に合わせてどのような車いすとシーティングを提供するかを話してくださいました。
年齢と身体の状況そして環境によって、どんな事を考えるべきか?どんな車いす、どんなオプションを提供すべきか?バギー、手動、電動、スタンディング。乳幼児のバギーにも欧米ではシーティングを提供したものを使用。身体障害であればどんなに重度でも普通学校に行くので、健常の生徒と一緒に活動できるような車いすや電動車いすを提供。
最後のケーススタディでは、4歳から電動車いすを使用していた頚髄損傷の男の子が手動車いすを使うようになって身体の変形・拘縮・疲れが増え、大学進学を前に長時間の使用を考えてシーティングの搭載された電動車いすを検討。最初は電動車いすを躊躇していたものの電動のスタンディング車いすを使用したら生活が変わり、とてもアクティブな大学生になったという話を聞かせていただきました。可能な限り道具に頼るべきではないという日本の考え方とは正反対なことを再認識しました。
午後からのペーパーセッションの2時間は取引先との会議に使いました。セッションが聞けなかったのは残念でしたが、有意義な会議でできて満足でした。
その後4時からは初日最後の1時間セッション。「Choices to Incorporate Change: Meeting the Challeges of ASL (変化への対応:ALS患者の変化への対応)」を選択しました。実は米国の高校の時の親友がALSになり、すでに12年経過していることもこのコースを選んだ理由でした。セッションでは、ALSの初期から車いす使用開始、電動車いすやコミュニケーション・エイドの使用開始、特殊コントロールの使用開始などについて、ALSの方の状態に対応した様々な製品とオプションの提供について話してくださいました。 いつの日か私のALSの友人の役に立てたら嬉しいです。

 

盛りだくさんのISS初日、展示会場でのリセプションの後、友人のメリーさんとブルースさんに誘われて夕食へ。マリーさんは優しくてとても穏やかな方ですが、70年代のアメリカで障害者の権利を確立するために様々な活動をした人。カリフォルニア大学初の車いすの学生のひとり。なので彼女の話はいつもとても興味深いです。この夕食には全員で車いす使用者が5人。ISSでは毎年多くの友人と再会できるのも楽しみのひとつです。

 

国際シーティング・シンポジウム2日目
ISS2日目は朝8時半から全体講演。スピーカーは地元サニーヒルズ・ヘルスセンターの脳血管障害のプログラム・マネージャーによる「Sit, Eat Thrive: Makig the Connection between Posture and Mealtimes (座って食べて楽しんで:姿勢と食事の関連性)」。障害時・者と高齢者に多い嚥下障害(困難)、そして誤嚥や誤嚥肺炎を防止するために、悪い姿勢をとらせないことや、場合によっては頭部保持が必要なことを講演してくださいました。近年のISSでは嚥下障害や呼吸がテーマの講習も多く、その問題をかかえる人の増加と、シーティングによる姿勢の改善が必要になっていることを実感しました。
全体講演の二つ目はISSの中心人物の一人であるピッツバーグ大学のシュメラー教授が車いすの進化と可能性について講演。近年のISSで必要性が重要視されてきているセラピストの「Evidence Based Practice (実証を伴う実践)」についても重要性を強調。セラピストがもっとリサーチ(研究)したり、発表されている研究結果を活用していくために、さらなる教育を提供していくそうです。

 

ISSでの新製品講習
毎年国際シーティング・シンポジウムに参加するもうひとつの目的は取引先との会議と新製品の講習を受けることです。ISSの講習の合間の時間を使って今回展示している6社のブースを飛び回って新製品について学びました。これから日本に紹介できる商品について勉強できるので楽しいのですが、展示会場を飛び回って話すことでかなり疲れます。今日は、全体講演の後のペーパーセッションを最初の褥瘡についての講演だけ聴いて、残りの時間を商品講習に充てました。新開発の高齢者向けの車いす、障害児用のベビーカー、チタン製のアクティブな人向けの車いす、スタンディング機器、全く新しいタイプのポジショニングベルト等々、早く日本に紹介したくてうずうずします。

 

国際シーティング・シンポジウム二日目講習
ISS二日目の講習、まずは13:00からの「As Time Goes By (脊髄損傷者を取り巻く環境と製品の変化と高齢化への対応)」。講師は日本でセミナーを一緒にしたことのあるブレンリーさん。彼女間20年以上の車いすシーティングの経験から、その20年での脊髄損傷者を取り巻く環境と製品の変化、そして障害者の高齢化によって発生する問題と対応について話していただきました。印象に残ったのは彼女が新人の時に対応して今までサポートし続けている頚髄損傷の青年の話。鉱山で働いていて車の事故で頚髄損傷になった20歳の青年が、頑張ってリハビリして退院するものの褥瘡になって再入院。その後元気になって大学に進学。スポーツでは車いすラグビーの選手になってパラリンピックに出場。しかし遠征に行っては、バリアフリーじゃない部屋に無理に泊まり、試合の後にチームメイトと飲んだくれて床で寝るというようなメチャクチャな生活を繰り返していたそうです。結局、側彎が生じて悪化したことから辛くなり、初めてシーティングをしてもらって適切な車いすを使用するようになります。その後は結婚をして幸せな生活を送り、オタワ州の車いすラグビーチームの監督とカナダ代表チームのアシスタントコーチを務めながらパートタイムで働いているそうです。興味深いのはフルタイムで働いている奥さんのために、掃除・洗濯・料理などすべての家事を担当しているそうです。(手にも障害のある車いす使用者なのに。)重度な障害があってもちゃんとギブ・アンド・テイクの関係が成り立っているのが素晴らしいと思いました。
この後14:10から次の講習。この時間は「Reducing Aspiration Pneumonia: An Integrated Management Plan (誤嚥肺炎の発生を減少させるための総合的な管理計画)」という講習を受けました。嚥下障害から誤嚥、そして誤嚥肺炎。それらと姿勢の関係を座位姿勢とベッドでの姿勢の両方から考えるという講演で、興味深かったのですが、シーティング専門のセラピストの講演ではなかったので、ちょっと姿勢保持からの観点が少ないような気がしました。

 

ISSパネル・ディスカッション
二日目の最後はISSパネル・ディスカッション。シーティングでは有名なセラピスト5人(大学の教授を含む)が勢揃いして「Training Therapists in Seating and Mobility – Where are we? (セラピストへの車いすシーティングについての教育・我々は今どこにいるのか?)」。というテーマでそれぞれ講演し、話し合いました。PTとOTへの車いすシーティング教育の歴史では、北米でも大学院ではほとんど学んでおらず、継続教育と仕事の中で学んでいることが分かりました。(北米のPT,OTは四年制の大学卒業後、大学院2年間で資格を獲得)しかし大学で学ぶべきだと考えている者が7割以上いるそうで、カナダやアメリカのいくつかの州では、シーティング経験者が実践的な授業をしているところもあるそうです。
ヨーロッパでも2007年からヨーロピアン・シーティング・シンポジウムが始まり、第1回の350人の参加者が2011年には750人になったそうです。海外の動きで興味深かったのは、インドや中国でも車いすやシーティングの教育がスタートしていて、インドでは昨年WHO主催の車いすトレーニングが開催されたそうです。このトレーニングでは実践的な教育を行い、実技テストを受けて合格しないと次のレベルに上がれないという厳しいものだったそうです。今年は同プログラムが中国で開催されるそうですが、車いすやシーティングについて世界レベルの教育が行われていない日本は大丈夫なのかと心配になりました。恥を忍んでWHOに教育をお願いしないと世界的な流れからどんどん遅れてしまうのではと心配になりました。
今回ISSには昨年よりも多くの日本人が参加していますが、発表中心で勉強のために来ている人はごく僅かです。もっと多くの日本のセラピストがISSに参加して世界標準の車いすシーティングを学び、日本で実践できるようになることを願ってやみません

 

国際シーティング・シンポジウム最終日講習
ISS最終日は講習・全体講演・閉会式をしてお昼過ぎに閉会します。今日最初の講習は8:30からの「Manual Wheelchair Configuration and Training: Update to the Evidence 2012 (手動車いすの設定とトレーニング: 2012年改訂版)」。講師は車いすシーティングの経験16年のPTとOTの方です。講演のはじめに近年重要性が叫ばれている「Evidence Based Practice (実証を伴う実践)」を車いすについても行うことを提唱。様々な資料と情報・知識の供給源について文献や論文そしてインターネットでの検索方法を教えてくれました。最新の情報が必要だという実例として2005年に出版された「車いす使用者の肩を障害から守る」というテーマに対して2012年までに250以上の新しい文献や論文が発表されているそうです。
もちろん車いすの仕様や設定、キャスターや後輪のサイズや位置も肩を障害から守るためには必要。さらには漕ぎ方やハンドリムの材質と形状も肩に影響を与えます。このようなことが成人障害者にはある程度提供されているものの障害児や高齢者には軽視されていることが多い。しかし障害児や高齢者にも同様の考えが必要と強調していました。この他に電動アシストや簡易電動の活用の話しもあり、とても有益な講習でした。ちなみに会場は超満員でした。
この後9:40からは「Managing Neuromuscular Spinal Deformities in Children: From Planar Seating to Custom Mold (障害児の脊柱の変形への対応:一般的な座位保持からモールド式まで)」という講習を受けました。講習の前半は様々な障害別の子供に生じる側彎についてどのような違いがあるかを説明。それに対応したコルセットや手術方法(VEPTRを含めて)を説明。後半には一般的な座位保持、シーティング(体側サポートの設定の違いも含めて)、カスタム・モールドでの対応を多くの症例と共に見せてくれました。

 

国際シーティング・シンポジウム閉会
ISS三日目は午前中で講習が修了。11:00から全体講演3つと閉会式がありました。最初の全体講演ではISSの中心人物の一人であるジョージア工科大学のスプリーグル教授(PT)が「How manual wheelchairs are used during everydau mobilty (手動車いすの日常での使われ方)」というテーマで講演。日常的な活動を障害者・健常者、男性・女性など様々な面から分析して話してくださいました。
二つ目の全体講演は、南米のコロンビアに移住して車いすとシーティングを提供しているPTのキャサリンさんの経験談。車いすとシーティングについてとても遅れているというコロンビア。適切な助成金もあまり受けられないような人達に車いすとシーティングを提供するのは困難を極めたそうです。体験談の中に「身体に合わせた車いすではなく、車いすに身体が合うように対応した」という話は日本でも多くの高齢者が置かれている状態。「医師が3歳の障害児(CP)にまだ変形していなからと適切な車いすを提供しなかった結果ひどい側彎と拘縮が生じてしまった」という話は日本でも時々聞く話。シーティングの知識のある彼女だから何とか対応できたのだと思います。日本にも彼女のようなPT,OTがもっと必要です。
最後の全体講演はRehab Designer(福祉機器デザイナー)のジョーンズ氏。「Joy of Seating: How Design Influence Outcome (シーティングの喜び。デザインがどのように結果を左右するか)」sというテーマで講演。ISSでは毎年一人面白い講演をする人を呼びますが、今年は彼がその役。福祉機器のデザインにどのようなことが必要かを、面白く楽しく話してくれました。大切なのは、よく見ること、シンプルさ、バランス、柔軟性、軽量、独自性、統一性、優しさ、美しさ。講演の最後に彼が言った言葉は「シーティングを提供している人は、みんなシステムをデザインしている!デザイナーが大切なことを実践すれば良い結果が生まれる!」でした。私もシーティングを提供する一人として良いデザイナーを目指します。
最後に閉会のの言葉があって今年の国際シーティング・シンポジウムは終了。突っ走って勉強してきた4日間でしたが、終わったとたんにドッと疲れました。でもとても有意義な四日間でした。

 

国際シーティング・シンポジウム終了
バンクーバーで開催された国際シーティング・シンポジウム(ISS2012)での4日間の講習を終えて帰国しました。今回はプレシンポジウムの骨盤コントロールのコース、メイン・シンポジウムで7つの講習を受講し、8つの素晴らしい全体講演を聞くことができました。アメリカとカナダを中心に世界20数カ国から参加した約1000人のPT,OTと一緒に勉強できたことは、今後日本でシーティングを提供していく上で、自分が提供していることは世界標準の考えで最新のものだという自信となります。
今回14時間の講習を受けて勉強したことで1.4CEU(Continuing Education Units=継続教育ポイント)、さらにプレシンポジウムの3時間で0.3CEUが獲得でき、写真のような証明書を主催者のブリティッシュ・コロンビア大学からいただきました。(写真) 私にとっては勉強した証ですが、北米のPT,OTにとってはセラピストの免許(Licence)を更新するために不可欠なCEU(継続教育ポイント)です。北米は州によって時間は異なりますが、最も多いワシントン州では40時間、最も少ないマリーランド州でも30時間(3.0 CEU)を獲得して証明できないとセラピストの免許は更新できません。更新期間は2年ごとの州が多いので、今回私が勉強した時間の2~3倍は継続教育として勉強しなければなりません。だからどんなにベテランのセラピストでも継続教育を受けています。今回も日本でセミナーの講師をしたことのあるトップレベルのPT,OTが一緒の教室で勉強していました。そのような継続教育がセラピストのレベルを高め、最新の技術と最新の製品を患者さんに提供できるのでしょう。日本もいつの日か北米のような高いレベルの継続教育が提供されることを望みます。
昨年のISS後に、私はセミナーをする度、病院や施設を訪れる度にPT,OTの方達をISSに誘いましたが、今回参加したのは1名だけでした。これでは寂しすぎます。来年のISSは米国テネシー州のナッシュビルで3月7~9日の日程で開催されます。日本から一人でも多くのセラピストとリハビリ関係者、障害児・者に関わる方々が参加することを願っています。そして、日本にもシーティングのグローバル・スタンダード(世界標準)が定着することを心から望んでいます。

 

ISS2012・プレ・シンポジウム

<2012年3月6日>
今年も国際シーティング・シンポジウム(ISS)に参加して勉強してきました。今年の開催地はカナダのバンクーバー。会場は一昨年、三年前と同じウェスティン・ベイショア(The Westin Bayshore)。眼下にバンクーバー港とスタンレーパークが見下ろせる素晴らしいロケーションですが、例年通り朝から晩まで勉強漬けの4日間でした。
初日のプレ・シンポジウムでは1日または半日の専門コースを選んで勉強します。今年は9つの講習の中から「Controlling the Pelvis in Wheelchair Seating. Stable, Not Static. (車いすシーティングに於ける骨盤のコントロール・抑制ではなく安定性の提供)」という半日コースを選択。講師はシーティングの教育者としてもシーティング製品の開発者としても有名なアラン・シークマンさん。まさに骨盤のスペシャリストです。

 

講習は、車いすユーザーの個々の状態やニーズに合わせて、姿勢の土台となる骨盤をどのように保持すべきかというテーマを、静的シーティングから動的シーティング、重度な障害からアクティブな車いすアスリート、障害児から成人・高齢者、そして筋緊張の強い人から弛緩型の人まで、すべての車いすユーザーについて網羅した講習でした。
中級レベルのコースでしたが、参加者にはベテランのセラピストが多く、シーティングで最も大切だと考えられている骨盤については、シーティングの経験が10年以上あるようなPT, OTでも興味を持って最新の技術と製品について学びに来るのだということが分かりました。ちなみにカナダや米国では2年間に30~40時間の講習を受けて承認を受けないとPTやOTの資格が更新されません。だからベテランでも熱心に継続教育を受けるのです。
講習では骨盤の後傾・前傾・傾き・回旋による様々な問題とその解決方法について多くの症例と様々な製品の活用を含めて学びました。骨盤を中立で正しい状態に保持しなければ、いくら身体をサポートしても無駄。姿勢保持は骨盤の保持から始まるということを再認識しました。製品についても、様々な状態や問題への対応を個別に実演して説明していただいたのでとても有益でした。これでまた私が日本で提供するセミナーに最新の技術・製品・情報を盛り込んで日本の皆様に伝えることができるので嬉しいです。私が過去に受けた様々な講習と比べても最高レベルの講習でした。
写真はこの講習でも紹介された新開発の骨盤ベルト・エボフレツクスとアランさんが開発に係わった動的シーティング・システムのヒップ・グリップ

 

 

札幌で3つのセミナー

<2012年2月17,18,19日>
今回の札幌での一連のセミナーは、昨年から依頼をいただいていた札幌西丸山病院での講習会後の週末に障害児向けと高齢者向けのセミナーを開催したものでした。
まずは金曜日の夕方から西丸山病院でシーティング講習会を開催していただきました。参加者はPT,OTのセラピストに加えて医師と看護師の皆さんだったので、技術的なことは最小限にして姿勢の基本的な考え方とシーティングで何ができるかについてお話ししました。皆さん最初から最後までとても熱心に聴いてくださいました。講習会後に話した医師やセラピストの方々はやる気いっぱいで、札幌にシーティングの拠点となる病院ができる予感がしました。今後は実践講習会やシーティング体験会を提供して、姿勢の評価とシーティングを提供できるスタッフの養成をお手伝いしていきたいです。

 

週末には2日連続午前10時から午後4時までのシーティング総合セミナーを開催。今回は障害児から高齢者までのシーティングというテーマで対象を広げたせいか115名もの方が参加してくださいました。障害児の関係者が20名、高齢者・介護関係者が32名、障害児や高齢者ご本人と家族が33名、病院関係者が18名、車いす・福祉機器業者が12名。職種も医師・PT・OT・看護師・特別支援学校教師と様々。遠くは、北見、釧路、帯広、岩内、白糠、旭川からも雪の中参加してくださって嬉しかったです。
初日のセミナーは基礎・入門編ということで、午前中は姿勢とシーティングの基礎について話しました。午後は2名の高齢者の方に参加していただいてシーティングの実演をしました。背中に円背のあるおばあちゃんは背中の変形に合わせたバックサポートを使って対応。目線が上がって、とても良い姿勢で座っていただくことができました。
頚髄損傷の高齢者の男性は骨盤の傾きと側彎がありましたが、クッションを使って左右のバランスを整え、ラテラルサポートを付けたバックサポートを使うことで、まっすぐな姿勢になり、快適に座っていただくことができました。この実演でセミナーは修了しましたが、シーティングを体験したいという方が何名もいて、午後6時ごろまで姿勢の評価やシーティング体験を提供しました。最も印象に残っているのは、ものすごく強い筋緊張があって、かなり変形が進んでいた脳性麻痺の男の子。様々なシーティングの技術を駆使することで、筋緊張を緩和し、変形に対応して、まっすぐな姿勢で座っていただくことができました。お母さんは「こんなに楽そうに座れるなんて」ととても喜んでくださいました。

 

札幌でのシーティング総合セミナー2日目は応用・実践編。午前中はシーティングの様々な技術についてお話ししました。内容は、骨盤の後傾と円背への対応。骨盤の傾きと側弯への対応。拘縮や変形への対応。体側サポートの設定方法。ポジショニング・ベルトとヘッドサポートの活用方法等々です。最初にシーティングの基礎を復習した後は、実践的・技術的な講義と実演を提供しました。
午後からは前日と同様、2名のシーティング実演。今日は障害のあるお子さん2名の姿勢評価から採寸・設定・調整までシーティングを実演しました。一人目は側彎と円背のある小さなお子さん。二人目は筋緊張がとても強くて姿勢が崩れるお子さんでしたが、シーティング後は二人とも見違えるような姿勢になり、ご家族や関係者の方々にとても喜んでいただきました。二人目のお子さんのご両親は「山﨑さんのことをテレビで見てから息子のシーティングをしてもらうのが夢だったので、夢が叶いました。こんなに楽に座れるなんて本当に感激。」と言ってくださいました。ちょっと照れてしまいましたが、ご希望とご期待に応えられて嬉しかったです。
今回のセミナーには100名以上の方々が集まってくださいました。その大半は2日間連続して勉強してくださいました。セミナー後も質問が絶えず、北海道にシーティングが広まっていくのを実感しました。充実の三日間でした。

 

岐阜県で障害児・者と家族向けのシーティングセミナー

<2012年2月4日>
昨年11月に岐阜県で初めてのセミナーを開催しましたが、対象がセラピスト向けだったため、障害児・者と家族の皆様から当事者向けのセミナー開催の依頼をいただいていました。今回、岐阜県を中心に活動している[NPO]バーチャルメディア工房ぎふの主催で障害児・者と家族向けのセミナーを開催することができました。会場は岐阜駅前のじゅうろくプラザ。今回のセミナーは2時間という限られた時間でのセミナーでシーティング体験はありませんでしたが、みなさんとっても熱心に最後まで聴いてくださいました。
セミナー後はシーティングを試したいという方たちに囲まれ、近日中にシーティング体験会を開催する約束をしました。岐阜県の皆さんは他県と比べても、とても熱心で嬉しくなりました。最後にメールで特別に依頼を受けていた男の子のシーティングをしました。使用していた物よりも簡単なシーティングで姿勢が改善され、強い筋緊張で前に突きだしていた両足の力が抜けてフットレストに収まったのを見てご両親も喜ばれていました。今回は日帰りセミナーだったので電車の時間ギリギリになり、岐阜駅まで走りましたが、とても満足な1日でした。

国土交通省バリアフリー化推進功労者大臣表彰

<2012年1月17日>
今年で第5回を迎えた「国土交通省バリアフリー化推進功労者大臣表彰」に佐賀県の「パーキングパーミット」が選ばれ、1月17日に国交省で開催された表彰式で古川知事が受賞されました。企画・提案した私としてはとても嬉しいことです。古川知事は「山崎さんが提案者だから一緒に受賞を」と国交省に言ってくだったそうですが、受賞者が県の場合は代表者のみということで知事が受賞されることになりました。しかし古川知事の提案で受賞後のプレゼンテーションの最後に私が短いスピーチをすることになりました。私のスピーチではパーキングパーミット制度の理念と取り組み、そして今後の展望について話しました。国交省にもパーキングパーミットが認められて嬉しい限りです。これで全国展開に弾みがつくことを願っています。
写真は授賞式の写真、式典後に古川知事と佐賀県の関係者と撮った記念写真です。

 

 

 

岩手県水沢市と盛岡市で障害児・者向けセミナー

<2012年1月15,16日>
昨年12月の岩手県北上市で開催したセミナーに参加した障害者の通所施設に勤める方から、数人の利用者さんの姿勢を見てほしいという依頼をいただきました。当初は盛岡で開催予定だったシーティング体験会に参加いただこうと考えていたのですが、何人もの重度障害者を盛岡まで移動させるのは大変ということになりました。そこで依頼が、自分の勤めている施設でシーティングセミナーとシーティング体験会を開催してほしいというものに変わりました。そこで、岩手県奥州市水沢のひまわり園に行き、セミナーとシーティング体験を開催しました。当日は前夜の大雪にもかかわらず60数名の障害者と家族、そして関係者の皆様に集まっていただきました。
午前中に講義、午後にシーティング実演(体験)を5名に提供しました。今回の体験希望者は年齢が高い障害者中心で、変形や拘縮が固定されてしまっている方が多かったのでシーティングで姿勢を完全に直すというよりは、痛みの改善や悪化の防止を中心にシーティングを試していただきました。しかしご本人もご家族もシーティング後の姿勢の変化にとても驚いて喜んでいただきました。 このような地方の施設でも興味を持ってやる気がある人がいれば大きな変化を起こせるのだと実感しました。
翌日16日(月)は、岩手県立となん特別支援学校の寄宿舎の先生方から依頼をいただき、同校でシーティング講習会を開催しました。午前9時から11時に講義、その後12時までシーティング体験というハードスケジュールでしたが、皆さんとても熱心に最後まで聴いてくださいました。シーティング体験後にも、シーティングの依頼や相談をされる方もいて、多くの方に興味を持っていただいたことが嬉しかったです。今回は寄宿舎担当の先生中心でしたが、ぜひ本校でもシーティングのお話ができたらと思いました。
前日と比べるとシーティングを体験された方は、年齢が低く、可動性が残されていたので、姿勢を改善することができました。やはり年齢が低いうちにシーティングを提供する方が本人も楽で、効果も高く、費用も少なくてすむことを実感しました。これからも学校や就学前の児童の施設でシーティングについてお話しして、早期の問題改善に繋げたいです。