2014年メッセージと活動

港区整形外科カンファレンスでシーティング講演

<2014年12月17日>
港区医師会からご依頼いただいた港区整形外科カンファレンスでシーティングについて講演しました。医師会からのシーティング依頼は初めてだったのでとても光栄でした。多くの医師とコメディカルの皆様が熱心に聴いてくださいました。シーティングについての講演を初めて聴く方々だったので、目から鱗との感想と多くの依頼をいただきました。医師、特に整形外科の医師にシーティング理解者が増えるのはたいへん嬉しいことです。今後も医師の皆様にシーティングを知っていただく活動をして行きたいです。
これが2014年最後の講演。47回目の講演でした。

全国肢体不自由児者父母の会連合会の総会で講演

<2014年12月14日>
5月に東京で開催された全国肢体不自由児者父母の会連合会の全国総会でシーティングの講演を聴いていただいた大阪府肢体不自由児者父母の会連合会の会長さんにご依頼いただき、大阪の高層ビルあべのハルカスの会場に近畿2府4県の父母の会会員と施設関係者(OT・PT等)が集まってシーティング研修会を開催しました。
関西では久しぶりになる障害児者向けのセミナーに100人を超える大勢の方が集まってくださいました。前半に講義、後半は実演。シーティングを知らない人がまだこんなにいるんだと実感。感動した参加者から多くの依頼をいただきました。関西へのシーティングの普及を進めてシーティングの恩恵を得る人を増やしたいです。

佐賀市のホテルでバリアフリー化のための視察とコンサルティング

<2014年12月11日>
長年ユニバーサルデザイン推進会議のアドバイザーを務めている佐賀県の佐賀市には車椅子で宿泊できるホテル客室が少なく(私が泊まれるのは1室だけ)、その必要性を訴えてきました。佐賀県のユニバーサルデザイン推進の体制が変わったことを受けてホテルのバリアフリー視察を提案。UD推進部門から依頼を受けてホテル客室のバリアフリー化のための視察とコンサルティングを提供しました。
3ホテル10室を視察してバリアフリー化案を提案。当初ホテルの担当者は視察で何を言われるのかと心配されていたようですが、実現可能な改修案、補助器具によるバリアフリー化、障害者の様々な障害レベルやニーズとホテル客室仕様のマッチング等によるコンサルティングを提供した後はとても喜んでいただき、「それならできる」「できることから始めてバリアフリー化・UD化を進めたい」と前向きに取り組んでいただけることになりました。これで佐賀市に車椅子で泊まれる客室が大幅に増えます。佐賀出張の多い私としても楽しみです。

内閣府障害者週間記念シンポジウム

<2014年12月3日>
依頼をいただいて内閣府主催の「障害者フォーラム・障害者週間記念シンポジウム」にパネリストとして参加。「障害者権利条約を批准して」というテーマを受けて「自分の意思で自由に活動できる社会を目指して」と題して講演しました。2020東京オリンピック・パラリンピックは障害者権利条約の批准に加えて障害者差別解消法の施行後に開催されます。2020年の大会開催に向けてすべての人に使いやすいユニバーサルデザインの施設とまちづくりをレガシーに盛り込んで実現することが不可欠。このような施設やまちづくりは障害者だけでなく超少子高齢社会の日本に必ず役立ちます。2020東京オリンピック・パラリンピックまであと5年。大至急進める必要があります。講演に賛同してくださる方がとても多かったので後は目的に向けて進むだけです。

お知らせ

<2014年10月~11月>
2104年10月~11月は非常に忙しく、facebookには速報でアップしていますがホームページにアップできていません。時間を見つけてアップしていきますのでしばらくお待ちください。

雑誌「WOCナーシング」2014年10月号にシーティング記事が掲載

<2014年10月1日>
美濃良夫先生にご依頼いただいて雑誌「WOCナーシング」2014年10月号に「褥瘡予防と再発防止に不可欠なシーティングの考え方 ~適切な車椅子での座位姿勢とクッションを提供するために~」という記事を書かせていただきました。車椅子の基本的な考え方から尾骨と坐骨の褥瘡予防と再発防止のための骨盤の傾きの改善、さらにはクッションの分類から選択方法まで9ページに渡って書きました。看護師さんには少し難しい内容かもしれないけれどシーティングに関わる方には役立つ内容だと思います。多くの方に読んでいただいて臨床で活用していただきたいです。

七栗サナトリウムでセラピスト向けの実践セミナー

<2014年9月21日>
三重県の藤田保健衛生大学・七栗サナトリウムに来て、前日のリハビリテーションセミナーでのシーティング講演を受けたセラピスト向けの実践セミナーを提供しました。さらなるシーティング技術と重度障害者への対応について講習した後、2人の患者さんに協力いただいて姿勢の評価からシーティング選択・設定・調整まで実演する講習を提供。お二人とも姿勢が改善しましたが特に姿勢に多くの問題のあった重度障害の患者さんはシーティング後に強い筋緊張が緩和して見違えるような姿勢になりました。まったく別人のように普通に座れるようになった患者さんに参加者の皆さんは感動。シーティングの可能性をお見せして実感していただくことができてよかったです。今後さらなるシーティングの実践に向けて協力させていただくことをお約束しました。
が認知されてきたこともあり実践に繋げたいという方々が多くて嬉しかったです。

七栗リハビリテーションセミナーでシーティング講演

<2014年9月20日>
藤田保健衛生大学の七栗リハビリテーション研究会からご依頼いただき、三重県のリハビリテーションに携わる医療者を対象にした七栗リハビリテーションセミナーでシーティングについて講演しました。演題は「車いす使用者のためのシーティングの活用
~シーティングで変わる車いす使用者の生活」。会場の三重県総合文化センターには150名もの医師、セラピスト、看護師、介護福祉士が集まってシーティングについて熱心に聴いてくださいました。
七栗リハビリテーションセミナーで講演させていただくのは2回目。前回が2004年だったので10年振りのシーティング講演となりました。シーティングが認知されてきたこともあり実践に繋げたいという方々が多くて嬉しかったです。

市川市リハビリテーション病院でシーティング研修会

<2014年9月11,16日>
2013年10月に日本リハビリテーション看護学会でのシーティング講演を聴いた看護師長さんが中心となって千葉県の市川市リハビリテーション病院でシーティング研修会を開催。 「成人障害者のためのシーティング ~姿勢保持、褥瘡予防、自立支援のために~」と題した2回シリーズの研修会の第1回は「シーティングと姿勢保持」について話しました。初めてシーティングについて学ぶ方が大半でしたが「目から鱗」だとシーティングに大きな興味を持ってくださいました。
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翌週に開催した第2回研修会では「褥瘡予防と再発防止」についてクッションの材質による除圧機能の違いと適切なクッションの選択方法を含めて講義したあと実際に患者さんのシーティングを実演。シーティングの車椅子に座って15分ほど良い姿勢でいた後、元の車いすに戻ったら安定性の悪さと姿勢のずれに患者さん自身がビックリされていました。体験していただくことが一番だと参加者の皆様と共に実感した研修会でした。

埼玉、岩手、福岡で障害児向けシーティングセミナー

<2014年7月24日, 8月5日>,8月24日 >
夏は毎年多くの特別支援学校や障害児関係の団体からシーティングセミナーの依頼をいただきます。今年は7/24に埼玉の和光特別支援学校、8/5に岩手のとなん支援学校、そして>8/24に福岡で福岡県肢体不自由児者父母の会から依頼をいただきました。
和光特別支援学校はシーティングに熱心で毎年のように研修会を開催していただいています。岩手のとなん支援学校では「盛岡となん公開講座」として県内の特別支援学校や障害児関係者を集めた公開講座、福岡では福岡県肢体不自由児者父母の会が中心となって障害児の家族向けセミナーを開催していただきました。
まだシーティングについて知らない障害児関係者も多いのが現実ですが、このように全国で興味を持ってセミナーを開催していただく機会が増えてとても嬉しく思っています。
私のセミナーのタイトルのように、シーティングで障害児の未来は変わりますです。ぜひシーティングを活用して二次障害予防や残存機能の発揮に役立てていただきたいです。

シーティング講演の内容が「回復期リハビリテーション病棟協会機関誌」に掲載

<2014年8月20日>
今年二月に回復期リハビリテーション病棟協会の第23回研究大会で講演させていただいた内容を機関誌に掲載していただきました。「シーティングで変わる車いす使用者の未来」と題した講演が6ページの記事になりました。車いすシーティングの基本的な考え方を分かりやすく説明しています。多くの医療関係者に知っていただき、シーティングの普及・活用に繋がれば嬉しい限りです。講演の文章化にご協力いただいた橋本先生、永塚さんありがとうございました。

 

新型電動車椅子Xploreプレラウンチ講習会

<2014年8月19日>
新型電動車椅子「Xplore(エクスプローラ)」の国際福祉機器展での発表と発売に向けてカナダからテクニカルインストラクターを招いてプレラウンチ(発売前)説明・講習会を開催しました。30名以上の代理店担当者が参加し、商品説明、技術講習そして試乗を行いましたが大好評でした。電動担当者は皆さんとても熱心。試乗会は大いに盛り上がりました。

お知らせ

<2014年6月~7月>
2104年6月~7月は非常に忙しく、facebookには速報でアップしていますがホームページにアップできていません。時間を見つけてアップしていきますのでしばらくお待ちください。

看護学校で講演

<2014年5月23日>
とても久しぶりに看護学校から依頼をいただいて講演。2コマを使って障害者と高齢者の自立支援と介護軽減のための車椅子シーティングとバリアフリー環境の提供について話しました。シーティングで車椅子で長時間過ごせるようになったら、次に必要となるのは自由に活動するためのバリアフリー(ユニバーサルデザイン)な環境。今回の講演ではその両方について多くの例と共に話すことができました。学生さんたちが終始とても熱心に聴いてくださったのが感激でした。きっと患者さんと関わる時に役立つと思います。
今回講演依頼いただいた先生は1997年に別の看護学校勤務時に講演を依頼してくださった方。17年振りに講義をお手伝いできて嬉しかったです。

全国肢体不自由児者父母の会連合会の総会で講演

<2014年5月17日>
全国肢体不自由児者父母の会連合会の清水会長から依頼を受けて全国総会でシーティングについて講演をさせていただきました。全国から集まった各県の会長・副会長さんたちに障害児者の姿勢とシーティングについてお話しました。
参加者の皆さんにとっては初めて聴くシーティングの講演でしたが、とても熱心に1時間40分の講演を聴いていただき、講演後の懇親会では全国からシーティングの依頼が殺到しました。札幌、茨城、長野、愛知、三重、滋賀、兵庫、和歌山、島根、広島、徳島、香川、愛媛、佐賀、沖縄、そして東京ではシーティングセミナーやクリニックをさせていただくことになりそう。嬉しい悲鳴です!

「シーティングで自立支援と介護軽減を実現する議員連盟」第3回勉強会

<2014年4月25日>
昨年10月に設立総会を行った「シーティングで自立支援と介護軽減を実現する議員連盟」の第3回勉強会が自民党本部で開催されました。シーティングをもっと日本に普及させて自立支援と介護軽減に活用すべきだと考えてくださる衆参両議員の先生方に加え、厚労省の関係者も参加してくださいました。
高橋比奈子議員の司会で、会長の野田聖子先生のお話に次いで私が「シーティング・海外の最新事情と国内の動向」と題して講演。先月参加した国際シーティングシンポジウムの報告とシーティングの最新情報、そして国内の同行として日本シーティングコンサルタント協会および日本車椅子シーティング協会との協力について講演しました。この協力体制によって日本でのシーティングの普及と活用をさらに加速させて行きます。

キッズフェスタ2014

<2014年4月19,20日>
今年も障害児とその家族のための福祉用具展・キッズフェスタ、正式名称「キッズフェスタ アンダー18・第13回こどもの福祉用具展2014に参加しました。今年もTRC東京流通センターの展示場を会場として開催されました。今年もアクセスインターナショナルとしてブースを出展し、新しい車いす、シーティング用の製品、シーティング付きバギー、スタンディング製品、様々なポジショニング・ベルト類や頭部サポート製品、そしてコミュニケーション機器やコンピュータを操作するための機器、環境制御装置などを展示し、多くの方に体験していただきました。大勢来場していただきました。両日とも、ブースは大盛況で嬉しかったです。
昨年たいへん好評だったシーティング体験を今年も行いましたが、シーティング体験にはひっきりなしに障害のあるお子さんの家族から依頼をいただきました。姿勢を評価して改善してお見せするとご家族はその変化に驚き、たいへん喜んでいただきました。

そのシーティングよりも注目を集めたのが今回日本で初めて発表したUpee(アップシー)。大人の力を借りて障害のあるお子さんと一緒に歩くことのできる製品。こどもを立たせてみたい、歩かせてみたいとお父さんお母さんが殺到。2日目には行列ができて嬉しい悲鳴でした。体験して実際に歩けた我が子の姿に感動したご両親は写真やビデオを撮影されていました。自分にとっても感動の一日でした。初めて立って歩けたことで満面の笑みのお子さんには周囲で見ていた皆さんも自然と笑顔になっていました。この感動を全国に届けたいです。
この製品Upee(アップシー)は、7月に日本発売を予定しています。予約受付中です。シーティング体験はいつでも受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。

山梨県で障害児向けのシーティングセミナー

<2014年4月5日>
今期初のセミナーは山梨県甲府市で開催。一昨年の医師向けセミナーに参加された小児科医師の先生がシーティングの重要性を発信してくださって「甲府市母子事業『ぐんぐん教室』」が中心となって今回のセミナーを開催してくださいました。当初は家族向けのセミナーの予定でしたが、多くのセラピストが参加してくださったので内容を少し変更して対応しました。セラピストや医師にも参加していただいて嬉しかったです。
姿勢とシーティングについて2時間ぼど話した後にお子さん2人のシーティング実演。姿勢の評価からマット評価、そしてシーティングと車椅子の設定と調整まで説明しながらお見せしました。お二人とも姿勢が改善して筋緊張が緩和。ご家族にも喜んでいただけて嬉しかったです。セミナー後には参加者からシーティングの依頼が多く寄せられ、会場の時間が許す限り対応しました。
山梨県にはすでにシーティングを提供できる医療センターがありますが、シーティングを理解して提供できるセラピストや病院が増えるのは素晴らしいことです。今後は病院別にさらに高いシーティング技術を講習して、障害児・者の姿勢の改善と機能性の向上に繋げていきたいです。

 

ISS2014・第30回 国際シーティング・シンポジウム

<2014年3月5-7日>
プレ・シンポジウムに続いて第30回国際シーティングシンポジウム(ISS 2014)のメインシンポジウムが開会。初日は朝8時半から開会宣言。開会のスピーチではISSの30年の歴史を紹介。1982年の第1回では98人だった参加者が第30回では1138人に、参加国も29カ国に増加(規模の大きい米国でのISSは31カ国1700人)。小児中心だった内容も成人、高齢者、そして様々な障害に拡がっています。
シーティングで姿勢を改善するという目的はもちろん、医師・セラピスト等臨床関係者と研究者と企業のギャップを埋めるという目的も上手く行っています。日本も早くそうなってほしいです。
ISSから派生したヨーロピアン・シーティング・シンポジウムは今年で第5回を開催、昨年から南米シーティング・シンポジウムとインド初のシーティング・シンポジウムがスタート。そして今年の5月には中国でアジア・シーティング・シンポジウム(APRSS)が開催されることになったそうです。シーティングが世界中に広がっているのを実感して嬉しいのですが、アジアのシンポジウムが日本ではなく中国で開催されるのがとても残念でした。確かに中国、台湾、香港は何年も前からISSに参加して勉強しています。

 

ISS開会の言葉に続いて全体講演。最初は脊髄損傷で車椅子使用者のOTであるDave Calver氏による「Client to Provider〔患者から提供者へ〕」。プロのカヤック指導者だった彼が事故で脊髄を損傷。高齢者だらけの病院に入れられ、不適切な処置を受けて希望をなくす。その後リハビリ病院で適切なリハビリを受けて社会復帰。OTになって貢献したいと考えて復学しOTの資格を取得。後進国で車椅子の指導、レクリエーションを活用したリハビリの提供、そして重度障害者のシーティングスペシャリストとして活躍する現在までの話。スタンディングオベーションの素晴らしい講演でした。
その後の、車椅子と社会参加の講演、電動昇降シートと拡大代替コミュニケーションの講演も興味深い内容でした。ISSの全体講演は毎年趣向を凝らした内容で楽しく、勉強になります。

 

国際シーティング・シンポジウム初日午後の講習

初日の午後は選択した講習がスタート。最初の講義は「Respiratory Issues and Consideration for CP Client」。脳性麻痺児の呼吸の問題を健常児と比較して説明。どのような考慮が必要かを説明してもらいましたが、シーティングによる対応についてもっと知りたかったです。
午後からはペーパーセッション。10分の持ち時間で5名×3組が話しました。講演者は大学院生からベテランまで様々。興味深い講演からイマイチの内容まで色々でした。
初日最後の講義は「Living Long with Spinal Cord Injury Wheelchair Seating Challenges and Solutions」脊髄損傷の車椅子使用者の生涯を急性期・維持期・減退期に分けて、それぞれの時期に起こる様々な問題を説明。回避するために必要な車椅子、シーティング、リハビリ、運動等について学びました。個人的にも有益な情報が多かったです。

 

国際シーティング・シンポジウム2日目

国際シーティング・シンポジウム(ISS)2日目も全体講演から、今日はセラピストではなく2人の研究開発者の講演。最初は「Micro Environment」ミクロ環境を見直して現状に満足せずに進める必要があるという話。二つ目は「3D Printing Technologies: The Future Backbone of Complex Rehab Products」3Dプリンティングによる障害者関連機器開発の話。すでに車いす、クッション、補装具等が開発されているそうです。将来は更なる活用が進むでしょう。
続いてペーパーセッション。5名×3組の発表から車椅子に関する講演を選択。車椅子の漕ぎ方、脳血管障害者の足こぎ操作に於ける車椅子及びシーティング設定の比較は興味深い内容でした。活用できる内容です。
その後、午後の講義までの時間を使って取引先とミーティング。展示会が今日の夕方までなので講義の間の時間を使って新製品について学んだりミーティングをしたりします。今回もいくつかの新製品や新開発技術を入手。日本に持ち帰って伝えるのが楽しみです 。

 

ISS2日目の午後は2つの講義とパネルディスカッション。最初の講義は「Assessment to Prescription of Seating System: From Infancy through Childhood to Adolescence」障害児の乳幼児から青年期のシーティングの評価と処方について香港でシーティングチームのリーダーを務めるPTの女性が講師でした。内容は正しかったし、症例についても適切なシーティングが提供されていましたが、ローエンドのシーティングに関しては首をかしげる内容がありました。他の聴講者も同様に感じていました。発表者は世界のシーティングの常識や実情を理解した上で講演を行わないと恥ずかしいことになってしまいます。最近は日本から発表に来る人もいますが注意して発表を行ってほしいです。
二つ目の講義は「Beyond The Mat Assessment」シーティング提供時に不可欠なマット評価の範囲を越えて、というタイトルに惹かれて聴講。固定された変形・拘縮・浮腫等のある重度複障害者にはマット評価だけでは足りない事があるので、ドップラー超音波法、ABI(ankle brachial index)足関節上腕血圧比、ビデオX線視検査(造影検査)、圧分布測定器等を活用して評価を行うという講演でした。適切なシーティング設定のためにここまでの検査をしている北米のセラピストや病院に脱帽でした。
2日目の最後は著名なセラピストと研究開発者によるパネルディスカッション。今回のテーマは「Efficacy and Effectiveness of Seating and Wheeled Mobility Interventions: Where Do we Go from Now?」シーティングと車椅子の有効性のために開発や介入をどうすべきかを各自が講演し討論しました。しかし確固とした結論は出ず、結果指標(outcome measures)を重要な情報として研究開発者と提供者(臨床医療関係者)が強く繋がって、ユーザーの意見を考慮し、製造業者の協力を得て進めるという形でまとまったようでした。日本と異なり、すでに上記の関係が上手く確立されているので、ここから先を考えるには研究開発者と提供者のさらなる関係強化が必要なのでしょう。

 

国際シーティング・シンポジウム最終日講習

ISS2014国際シーティングシンポジウム最終日は朝から講義が二つ。ひとつ目は尊敬するベテラン・シーティングスペシャリストのOT二人による「Myth Busters in Seating & Mobility」。車椅子やシーティングに関する昔からの通説や間違った常識について、最新の科学と技術を応用して間違いを解き明かし、現実的な解決策と新事実を導き出してくれました。日本で信じられていることも多かったのでセミナーで伝えていきたいです。 最後の講義は友人であり日本に招いてセミナーをしたことのあるPTバートさんとOTブレンリーさんによる「Who’s Afraid of Secondary Supports? Sensible Use of Seating Components」二次サポートと呼ばれるポジショニングベルトの考え方と活用についての話。二次サポートの前に一次サポートによるシーティング。まず骨盤から始めるという基本的な考え方も復習し、ベルトは抑制帯という間違った考え方への対応についても学びました。 二つの講義の後に三つの短い全体講演があり、第30回国際シーティングシンポジウムは閉会。今回も多くの知識と技術を得ることができました。忙しかったけれど楽しく有意義な4日間でした。

 

国際シーティング・シンポジウム終了

バンクーバーで開催された第30回国際シーティング・シンポジウム(ISS2014)での4日間の講習を終えて帰国しました。今回プレシンポジウムでは午前中に車椅子とシーティング提供するための適切な情報を得るために提供者(業者)がセラピストとどのようにコラボすべきかを学び、午後の「Custom Seating」では市販のクッションやバックサポートの改造からモールド型等の特注製品の作成までを勉強しました。
メイン・シンポジウムでは6つの講習を受講し、9つの素晴らしい全体講演から学び、10人のペーパーセッションを聞きました。アメリカとカナダを中心に世界29数カ国から参加した約1300人のPT,OT,医師等と一緒に勉強できたことは、日本でシーティングを提供していく上で、自分が提供していることは世界標準の考えであり最新のものだという自信となります。
今回23時間の講習を受けて勉強したので2.3CEU(Continuing Education Units=継続教育ポイント)を獲得。写真のような証明書を主催者のブリティッシュ・コロンビア大学とサニーヒル子供ヘルスセンターからいただきました。僕にとっては勉強した証ですが、北米のPT,OTにとっては2年ごとにセラピストの免許(Licence)を更新するために不可欠なCEU(継続教育ポイント)です。最も多いワシントン州で40時間、最も少ないマリーランド州でも30時間のCEUを実証できないと免許は更新できません。だからどんなにベテランのセラピストでも継続教育を受講します。今回も日本でセミナーをしたことのあるトップレベルのPT,OTが一緒に勉強していました。このような継続教育がセラピストのレベルを高め、最新の技術と製品の提供を可能にします。日本のシーティングの分野でも北米のような高いレベルの継続教育が提供されることを望んでいます。
今年は日本から2人のPTが参加して一緒に勉強できたのは嬉しかったですが、ぜひもっと多くのセラピスト、医師、車椅子・シーティング業者に参加してほしいです。そして日本にもシーティングのグローバル・スタンダード(世界標準)が定着することを心から望んでいます。

 

 

ISS2014・プレ・シンポジウム

<2014年3月4日>
今年も国際シーティング・シンポジウム(ISS)に参加して勉強してきました。今年の開催地はカナダのバンクーバー。会場は一昨年、3年前、5年前と同じウェスティン・ベイショア(The Westin Bayshore)。眼下にバンクーバー港とスタンレーパークが見下ろせる素晴らしいロケーションですが、例年通り朝から晩まで勉強漬けの4日間でした。
プレ・シンポジウムでは1日または半日の専門コースを選んで勉強します。今年は9つの講習の中から半日の専門コースを2つ選択しました。

 

午前中のコースは「How Suppliers Can Get the Information They Need from Therapists」車椅子とシーティングを提供するために提供者(業者)がセラピストとコラボしてどのように適切な情報を得るか、というコース。ISSではセラピスト,医師,研究者に加えて「Supplier(提供者)」と呼ばれる車椅子やシーティング製品のメーカーや代理店の担当者が参加しています。彼らのレベルはとても高く、セラピストと同等またはそれ以上のレベルの人も少なくないです。しかし今回のコースのように提供者向けのコースは珍しく内容にも興味があったので受講しました。
講師は大ベテランのシーティング・スペシャリストとして有名なJean Minkelさん(PT)とSusan Taylorさん(OT)。自分たちがセラピストとして提供者と関わってきた経験から提供者がセラピストや医師と上手く付き合って必要な情報を引き出し、セラピストや医師がリハビリや医学的に必要だと考えること、ユーザーがほしいもの、メーカーが売りたいもの、助成金、それらを統合して考え、各自の専門知識や技術を分担して最適な車椅子やシーティングを提供することの重要性とテクニックを教えていただきました。車椅子やシーティング製品選択時に検討する項目も含め、私の立場ですべきことを再確認することができました。

 

プレシンポジウム午後のコースは、カナダの有名なシーティング・スペシャリストのOT・Sheila Buckさんによる「Custom Seating」。カスタムと言うと日本では特注やモールド型と考えられがちですが、市販のクッションやバックサポートの改造を含めて広い意味でのカスタム・シーティングについて講義を受けました。
カスタム・シーティング提供時の優先順位の決定、評価、シミュレーション。クッションやバックサポートの材質・形・除圧。三点保持の活用、シーティングの形、必要な力の方向・位置・強さ、頭部保持。それらを踏まえての側弯・円背・変形・拘縮への対応について細かく教えていただきました。シーラさんのコースは何度も受講していますが、基本については良い復習になり、重度障害者のシーティングに関しては新しい情報もたくさん得られました。多くの症例と実演も有益でした。今日再確認した、モールド型にもシーティングの提供から始めること、まず最初に骨盤から対応すること、手によるシミュレーションの活用、そしてカスタム・シーティングの技術などについて日本の関係者に伝えていきます。

 

 

千葉県の障害者施設でシーティング研修会

<2014年2月19日>
千葉県印西市にある社会福祉法人いんば学舎の障害者施設いんば学舎・陣屋から依頼を受けてシーティング研修会を開催しました。今回の参加者にセラピストはいませんでしたが社会福祉法人の2つの施設から集まった職員の皆さんはとても熱心で、終了後には多くの質問。もっと知りたい、学びたい、通舎されているメンバーに実演してもらいたいなどの依頼をいただき、感激でした。
今後も研修を続けて行けば車椅子とシーティングを関してはとてもレベルの高い施設になるでしょう。その結果として利用者に現れる機能性の向上や二次障害の防止などの変化が楽しみです(^_^)

 

佐賀県シーティング研修会・応用編

<2014年2月16日>
昨年12月に依頼いただいて佐賀県では初となるシーティング研修会を提供してから2ヶ月、第2回目となるシーティング研修会・応用編を提供しました。当日はOT,PTを中心に看護師、介護関係者を含めて50名を超える参加者がありました。先週の回復期リハ病棟協会研究大会で私の講演を聴いてシーティング興味を持ったPTの方が大阪から参加してくださったのには感激でした。
参加者が高齢者と障害児関係者両方だったので、多岐に渡る内容の研修となりました。午前中に姿勢保持の基本~骨盤後傾による問題の解決、午後には片側への傾きによる問題の解決、褥瘡予防と再発防止、重度障害者への対応(変形・拘縮)、二次サポートの活用(ポジショニングベルト・頭部保持)、そしてシーティングの評価手順について話しました。5時間という長時間にも関わらず皆さん終始熱心だったので嬉しかったです。質問や依頼も多くいただきました。来年度も引き続き研修会を開催することが決定。来年度末には佐賀県にシーティングを提供できるセラピストや病院がたくさん誕生していることでしょう。
前日の大雪で佐賀便が全便欠航。急遽新幹線に変更して5時間かけて佐賀に来た甲斐があリました。

 

回復期リハビリテーション病棟協会・研究大会in名古屋で講演

<2014年2月8日>
依頼を受けて名古屋国際会議場で開催された回復期リハビリテーション病棟協会の研究大会で教育講演をしました。雪という天候にもかかわらず回復期のリハビリテーションに関わる医師、セラピスト、看護師、そして介護関係者が多く集まってくださいました。
シーティングの講演としては短い時間でしたが、リハビリに関わる専門家にもシーティングについて初めて話を聞く人も多く、講演の後に多くの依頼をいただきました。患者様にシーティングが提供できる専門家をひとりでも多く養成するために協力していきます。
リハビリ関係者の集まりなので、存じ上げている医師やセラピストも多く、今後さらにシーティング技術向上のたるに協力する約束をしました。障害者や高齢者のために高い志の方がとても多く、東京が大雪の中、頑張って雪の名古屋に行った甲斐がありました。

 

「環」の特集「医療大革命」に寄稿

<2014年1月29日>
藤原書店から依頼を受けて学芸総合誌・季刊「環」の特集「医療大革命」に「車椅子の可能性」というタイトルで寄稿しました。私以外の寄稿にも「リハビリテーションの光と影」,「介護保険とは何か」,「患者本位の医療とは」,「日本の患者は幸せか?」,「看取りとは」など専門家の先生による興味深い内容がたくさん。「医療大革命は可能か」と題した座談会も収録されています。寄稿された先生方にも「車椅子の可能性」について知っていただけたらと願っています。
学芸総合誌・季刊「環」について詳しくはこちらをご覧ください。 学芸総合誌・季刊「環」について詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

滋賀県で講演と高齢者向けのシーティングセミナー

<2014年1月19日>
滋賀県大津市から依頼を受けて「大津市地域リハビリテーションサポーター会議公開講座」で講演とシーティングセミナーを提供しました。滋賀県で講演をするのは初めて。セミナーをするのは16年振りでした。滋賀県から京都や大阪でのセミナーに参加してくださっていた方もいらっしゃいましたが、滋賀県大津市で開催できて嬉しかったです。
「大津市地域リハビリテーションサポーター会議公開講座」は、地域で高齢者や障害のある方が安心して生活できる社会を目指し、研修事業を通して地域の医療・介護専門職の支援を行うものです。専門職だけでなく、市民に対してもリハビリテーションの啓発を行うような講座にしたいというご依頼でした。
当日は午前中に講演。「車いすから起こす新しい風、弱点を強さに変えて成功を目指す! 」と題して私の現在に至るまでの様々な経験や活動について、米国での 事故・リハビリ・生活。そして日本に帰国後の様々な活動についてお話ししました。
午後からは「シーティングで変わる障害者の身体と生活」と題してシーティングセミナーを3時間提供。高齢者・成人障害者に関わっている参加者が多かったので、姿勢の話から二次障害の防止、車いす上での崩れた姿勢の改善(ずり落ち・円背、傾き、側弯)、褥瘡予防と再発防止についてお話ししました。
長時間のセミナーにも関わらず皆さんとても熱心に聴いてくださいました。シーティングについて学んだことがあると言う方でも、世界標準のシーティングの考え方について学ぶのは初めてだったので、新しい情報を多く伝えられたと思います。
セミナー後は質問や依頼を多くいただきました。当事者の方々にはシーティングのアドバイスを提供。専門家の方々にはさらに技術的なことを学びたい方が多かったので次回は実践セミナーを提供できたらと考えています。

 

お知らせ

<2014年1月>
2012年4月以降、私の活動についてはfacebookで報告していましたが、ホームページでも伝えてほしいとの意見を多くいただきました。これからはまたホームページでも私の活動についてアップしていきます。過去の活動についても主要なものから順にアップしていきます。